豚肉新団体設立を満場一致で承認(豪州)


業界団体統合により、ポーク・オーストラリアが発足へ

 豪州の主要な豚肉業界団体の1つである豪州豚肉生産者協議会(PCA)は、3
月末に総会を開催し、他の政府系2団体と統合して1つの新中核団体を設立するこ
とを満場一致で承認した。新団体の名称はポーク・オーストラリア(PAL)で、
順調に行けば来年7月から正式に発足することになる。連邦政府のハワード首相
もこれを歓迎する声明を発表し、豚肉業界の再編合理化を全面的に支持すること
を明らかにした。

 現在、豪州の豚肉業界団体は、@肉豚生産者と関連企業を会員とし、主に議会
へのロビー活動や業界全般の事業戦略の作成を担っているPCA、A主に豚肉消費
拡大事業などを実施している政府系機関の豪州豚肉公社 (APC)、B同じく政
府系機関で主に調査研究事業を行っている豚肉研究開発公社(PRDC)の3団体が
中心となっている。また、昨年4月には、APCの海外部門(輸出促進担当)が独
立し、豪州豚肉輸出連合(CAPE)が設立された。

 このうち、PCAは会社法に基づく非営利法人であり、APCとPRDCはそれぞれ設
立根拠法を持つ特殊法人である。また、PCAは生産者からの任意課徴金(母豚1
頭当たり1.5豪ドル(約98円:1豪ドル=65円))と関連企業からの賛助金を財源
とし、APCとPRDCは生産者からの制度課徴金(と畜1頭当たりそれぞれ1.65豪ド
ル(約107円)、0.7豪ドル(約46円))と政府から交付される事業交付金を財源
として活動している。


統合の背景には国際化の進展が

 数年前から検討されていた3団体の統合は、昨年5月に開催されたPCAの総会で
具体案が提示され、約1年間検討された結果、今回の合意に至った。

 統合が強く求められた背景としては、ここ数年、豚肉市場の国際化が急激に進
展したことが挙げられる。

 従来、豪州の豚肉産業は国内市場中心の需給均衡型であったが、97年ごろから
カナダ産を中心に輸入が急増し、一時は業界が連邦政府に輸入停止措置を求める
事態に至った。これに対し、政府は輸入制限は適用せず、その代わりに国内生産
の合理化支援と輸出促進の措置を講じ、これがCAPEの設立につながった。そ
の後、台湾、マレーシアにおける疫害発生が豪州にとっては追い風となり、シン
ガポールや日本への豚肉輸出が大幅に増加した。こうした中、業界内では、本格
的な輸出志向型産業に脱皮するため、効果的な産業政策の必要性が認識されるよ
になった。


輸出志向型産業への発展に期待される事業展開

 新団体は、任意・制度課徴金や企業賛助金など、従来同様の財源に基づいて運
営されるが、役員の過半数を生産者から選出して生産者の発言力を強化する。ま
た、特殊法人から民営化されるため、特定企業からの研究開発依頼を委託事業の
形で実施するなど、より柔軟な事業展開が可能となる。もちろん、統合による管
理運営コストの削減もメリットになる。豪州の豚肉産業は、もともと潜在的な国
際競争力が高いとみられているだけに、本格的な輸出志向型産業としての今後の
発展が注目されている。

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