鶏肉の統制価格を引き下げ(マレーシア)


供給不足を契機とした統制価格の引き下げに合意

 マレーシアの養鶏農家組合は、国内取引消費者行政省と農業省との3者協議の
結果、鶏肉の統制価格を引き下げることに同意した。現在の統制価格は、農家販
売価格で1kg当たり4.0リンギ(約108円:1リンギ=約27円)、小売価格(中抜き)
で6.0リンギ(約162円)となっているが、引き下げ後は、昨年までの水準である
農家販売価格4.0リンギ(約108円)、小売価格5.4リンギ(約146円)程度になる
ものとみられている。

 鶏肉の統制価格は、95年の鶏肉の供給不足をきっかけに導入された。そして、
98年からは農家販売価格、卸売価格、小売価格のそれぞれについて上限を設定し、
この価格以下での販売が義務付けられている。98年3月現在、統制小売価格は1k
g当たり5.4リンギ(約146円)となっていた。


鶏肉需要の増加で価格が急騰、消費者団体はボイコット運動も

 鶏肉需要は、98〜99年にかけて同国内の豚や人などに発生したウイルス性脳炎
の影響により、豚肉の消費が鶏肉へシフトしたことから急増し、慢性的な供給不
足の状態となっていた。さらに、99年末以降は、クリスマスや旧正月などの行事
で、多くの鶏肉需要が発生したことからその価格が急騰し、上限である統制価格
を超えて販売される事例も見られるようになっていた。

 これに対し、消費者団体などが食肉小売店での公正な価格による販売を求め、
当時の統制小売価格である1kg当たり5.4リンギ(約146円)を超えて販売されてい
る鶏肉を購入しないよう、12月23日からボイコット運動を展開したことから、鶏
肉市場は大きな混乱を生じた。このため、国内取引消費者行政省では、高騰する
小売価格を追認する形で、統制小売価格の上限を、1月9日から1kg当たり6.0リン
ギ(約162円)に値上げすることで事態を収拾した。

 しかし、3月中旬のイスラム教の祝日以降は価格が下がり、鶏肉販売量の約75
%を占めるウェットマーケット(生鮮食料品など多くの日常品が販売されている
自由市場)での平均販売価格は1kg当たり4.8リンギ(約130円)、農家販売価格
も2.99リンギ(約81円)と、いずれも高騰する前の価格を下回り、落ち着いた値
動きを示している。


再生産が確保されるとし、生産者団体が引き下げを受け入れ

 今回の3者協議では、国内取引消費者行政大臣が、現状の価格水準から見ても
統制価格の引き下げには妥当性があり、統制価格を引き下げても生産コストを下
回らないとする一方で、養鶏農家組合は、以前、鶏肉価格が生産コストを下回っ
て推移していたことを挙げ、引き下げの見送りを要望していた。また、農業大臣
は、養鶏農家は重要な鶏肉供給元であることから、農家経営が安定し、消費者に
受け入れられる水準で統制価格が決定されるべきであると述べていた。しかし、
養鶏農家組合は、統制価格を引き下げたとしても、現状では再生産が確保される
とし、統制価格の引き下げを受け入れたものとみられている。

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