◇絵でみる需給動向◇
タイのブロイラー加工輸出業者協会が公表した99年の鶏肉輸出(速報値)は、 数量が前年比0.5%増の27万6,072トンとほぼ前年並みであったものの、輸出金額 は、冷凍鶏肉の輸出価格が大幅に下落したことなどにより、同7.5%減の237億3 千万バーツ(1バーツ=約2.8円)とかなりの程度落ち込んでいる。
内訳を見ると、冷凍鶏肉の数量は、オランダ向けが前年比25.3%減の1万3,472 トンとなったが、イギリスが量販店向けなどの増加で、同34.9%増の1万1,585ト ンと大幅に増加したことなどにより、EU合計で同0.8%減の5万3,943トンとわず かな減少にとどまった。しかし、アジア向けは、豚に発生したニパ・ウイルスの 影響で鶏肉の消費が増加したマレーシア向けが2.1倍の5,320トン、経済が回復基 調にある韓国向けが同86.9%増の4,721トンと、それぞれ大幅に増加したが、日本 向けがブラジルおよび中国などの輸出攻勢により、同1.1%増の13万91トンとわ ずかな伸びにとどまった。また、中国向けは同37.3%減の5,513トンと大きく減少 し、アジア向け合計は同2.0%増の15万8,071トンとわずかな増加にとどまった。 その結果、冷凍鶏肉の輸出数量は、同0.3%増の21万3,134トンとなった。なお、 同金額は、中国、ブラジルなどの日本向け輸出価格が低下した影響などにより、 同10.3%減の149億1千9百万バーツとなった。
また、鶏肉調製品の数量は、アジア向けが同3.3%増の3万8,850トンと増加した ものの、EU向けが同0.9%減の2万44トンとわずかに減少し、合計では同1.0%増 の6万2,938トンとなった。このような中、シンガポール向けは、ファストフード 需要の高まりにより、前年の2.6倍の4,509トンと大幅に増加した。しかし、日本 向けは、中国などの輸出攻勢の影響などにより、同2.7%減の3万3,990トンに落ち 込んでいる。なお、金額においても、輸出数量がわずかな増であったものの、輸 出価格の下落により同2.3%減の88億1千1百万バーツとなった。 これにより、日本向けシェアは、冷凍鶏肉が前年に比べ0.4ポイント上昇し61.0 %に、また、鶏肉調製品が2.0ポイント低下し54.0%となり、全体では前年より 0.2ポイント低下し59.4%となった。なお、主要な輸出相手国は、98年に2位であ ったオランダと3位のドイツの順位が入れ替わったほかは、98年と同様であった (表参照)。また、鶏肉総輸出量に対する上位5ヵ国の割合は、冷凍鶏肉が98年 と同率の88.8%、鶏肉調製品が97.5%から99.1%に上昇している。
同協会では、2000年の輸出計画を、冷凍鶏肉が数量で前年実績比7.1%減の19 万8千トン、鶏肉調製品が同14.4%増の7万2千トン、合計で同2.2%減の27万トン としている。また、金額では、冷凍鶏肉の単価を同8.6%減の1トン当たり6万4 千バーツ、鶏肉調製品を同7.1%減の1トン当たり13万バーツと見積もり、合計 で同5.1%減の220億3百万バーツとしている。 99年タイ鶏肉の主要な輸出相手国 資料:99年はブロイラー加工輸出業者協会、98年はタイ大蔵省関税局
元のページに戻る