海外駐在員レポート 

米国の新酪農制度

ワシントン駐在員事務所 本郷秀毅、渡辺裕一郎、樋口英俊




1 はじめに

 99年12月23日、これまで飲用規格(グレードA)生乳最低価格の基礎として公
表されてきた基礎公式価格(BFP:Basic Formula Price)に代わり、新しい連邦ミ
ルク・マーケティング・オーダー(FMMO)制度に基づく2000年1月のクラスT
基礎価格(ClassTBase Price:飲用乳の基礎価格)などが公表され、2000年1月
から、米国の新しい酪農制度が施行された。

 FMMO制度は、96年農業法により、米農務省(USDA)に対してその改革が指
示されて以来ここにたどり着くまでの4年間、多くの議論・修正を重ねながら、
結果的に当初の予定より1年遅れて改革の実施にこぎつけた。その詳細は本文に
譲るが、基本的な議論の構図は、制度の改革、すなわちUSDA案を支持する主に
中西部の伝統的酪農地帯の生産者による力に対して、その改革を最小限に食いと
どめようとする他の地域の生産者による力がせめぎ合う、まさに政治的な闘争で
あった。

 その背景には、近年、とみに激しくなった乳価の変動がある。言い換えれば、
96年農業法が市場志向型政策への移行をうたいながら、現実には、このような乳
価の変動にいかにして対処すべきかが議論され、結果的に、その変動を緩和する
ための対策・修正が随所に反映されることとなった。

 今回は、近年における米国の酪農・乳業の基礎構造とその変化を概観したあと、
このようにして実現にこぎつけた米国の新しい酪農制度について、従来の制度と
比較しながら、その概要を報告する。


2 酪農・乳業の基礎構造

(1)酪農経営体数:日本の3倍

 米国の酪農経営体数は、近年、わが国同様、年率5〜7%程度の割合で一貫して
減少傾向を示している。この結果、80年には約33万4千戸であった酪農経営体数
が、98年には11万6千戸と、約20年の間に3分の1程度の水準にまで減少している。
これを98年の日本の酪農経営体数3万7千戸と比較すると、約3倍に相当すること
が分かる。


(2)経産牛飼養頭数:日本の8倍

 米国の経産牛飼養頭数は、87年以降ほぼ一貫して微減傾向で推移している。こ
の結果、86年には1,077万頭であったものが、98年には916万頭にまで減少してい
る。これを98年の日本の経産牛飼養頭数119万頭と比較すると、約8倍に相当する
ことが分かる。

表1 酪農経営体数の推移
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 資料:USDA


(3)1戸当たり経産牛飼養頭数:日本の2.5倍

 上記のデータを用いて、98年の米国の1戸当たり経産牛飼養頭数を計算すると
79頭となる。これに対し、日本の1戸当たり経産牛飼養頭数は32頭となることか
ら、米国の1戸当たり飼養規模は日本の2.5倍に相当することになる。


(4)生乳生産量:日本の8倍、東から西へ移動

 米国の生乳生産量は、80年以降ほぼ一貫して微増傾向で推移している。この結
果、80年には5,824万トンであったものが、98年にはその23%増の7,141万トンに
まで拡大している。これを98年の日本の生乳生産量855万トンと比較すると、約
8倍に相当することが分かる。経産牛の飼養頭数も米国は日本の約8倍であること
から、日・米の経産牛1頭当たりの乳量はほぼ同水準であることが推察される。

 次に、全国に占める地域別の生乳生産量のシェアを見ると、近年、伝統的な生
乳生産地域である五大湖沿岸(中西部)や北東部諸州のシェアが減少し、新興生
産地帯である太平洋沿岸や山岳部諸州のシェアが急速に拡大している。主要生産
地帯は東から西へと移動しつつある。

表2 経産牛飼養頭数と生乳生産量の推移
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 資料:USDA

◇図1:米国の農業生産地域◇
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資料:USDA

表3 地域別生乳生産量シェアの推移
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 資料:USDA、ERS


(5)乳製品生産量:チーズが主要生産品目

 米国の乳製品の中では、伝統的にチーズの生産量が圧倒的に多く、生産された
生乳のほぼ半分がチーズの生産に仕向けられている。6割以上の生乳が飲用牛乳
の生産に仕向けられる日本とは、牛乳乳製品の生産構造が全く異なることが分か
る。98年のチーズの生産量は、米国では340万トンであったのに対して、日本で
は、近年急速に生産が伸びているとはいえ、国産生乳を使用するナチュラルチー
ズの生産量ベースで見れば、わずか1万5千トンにすぎない。実に、その差は約
230倍にも及ぶ。

 チーズ向け生乳取引価格あるいはチーズ取引価格がFMMO制度における飲用規
格生乳最低価格の主要な基礎とされてきたのは、数ある牛乳乳製品の中でも、チ
ーズには、このように第1位の生産品目としての確固たる位置付けがあったから
であろう。それにもかかわらず、米国酪農は今、全国のチェダーチーズ生産量の
わずか2%(チーズ全体の0.7%)程度を占めるにすぎないシカゴ・マーカンタイ
ル取引所(CME)におけるチーズ取引価格の変動の波にほんろうされている。

表4 品目別乳製品生産量の推移
re-ust04.gif (3070 バイト)
 資料:USDA、ERS

◇図2:加工原料乳価格(BFP)の推移◇


(6)乳業工場数:飲用牛乳工場数が大幅減少

 生産品目別に現在の乳製品工場数を見ると、82年に比べ、飲用牛乳工場および
バター工場数が約半減しているのに対して、チーズおよびアイスクリーム・冷菓
工場数が微減、粉乳およびれん乳工場数はほぼ横ばいとなっている。この結果、
最大の生乳仕向量を誇るチーズ工場数が、飲用牛乳工場数にほぼ匹敵する状況と
なりつつある。乳製品の生産量と合わせて見ると、いずれの乳製品工場も、統廃
合などにより規模拡大を図っていることが分かる。

 本誌99年10月号のグラビアコーナーで採り上げたヒルマー社の世界最大規模を
誇るチーズ工場の場合、99年7月現在、年間に換算して1工場で10万トンのチーズ
を生産し、生乳処理量は100万トンにも及ぶ。さらに、2000年6月までには、チー
ズ生産を20万トン、生乳処理量を200万トンに倍増する予定である。

表5 生産品目別乳業工場数の推移
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 資料:「Census of Manufacturers」(97)


(7)拡大する酪農協の役割

・32%が牛乳乳製品を製造

 米国の酪農協には2つのタイプがある。1つは乳価交渉を目的としたものであり、
その点では日本の指定生乳生産者団体に相当する。もう1つは牛乳乳製品の生産
を目的としたものであり、日本の農協プラントに相当する。後者のほとんどは、
乳価交渉の機能も併せ持つ。92年の調査によると、68%が前者の乳価交渉を目的
とした酪農協であり、残りの32%が後者の牛乳乳製品の生産を目的とした酪農協
に分類される。

・生乳の処理加工シェアは37%

 94年の調査によると、酪農協の生乳取扱シェアは全国の生乳生産量の86%にも
及んでいる。こうして酪農協により取り扱われる生乳のうち、43%は酪農協所有
の工場で処理加工され、残りの57%が乳業者を通じて処理加工されている。した
がって、全国の生乳生産量に占める酪農協による処理加工シェアは37%(86%×
43%)と推定される。

 これらの酪農協の規模は大小さまざまである。30年代には2,300ほどあった酪
農協が、統廃合などの進展により10分の1程度にまで減少し、現在では200〜240
程度とされている。一般に、乳価交渉を目的とした酪農協は規模が小さく、牛乳
乳製品の製造を行う酪農協は規模が大きい。

 米国最大の酪農協であるデーリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ(本社ミズ
ーリ州カンザスシティ)の場合、会員数は東海岸から西海岸全土にわたる約2万
4千人を有し、生乳の取扱数量は1,650万トンと、全国の生乳生産量の約4分の1を
占めている。言い換えれば、日本の全生乳生産量の約2倍の数量を取り扱ってい
ることになる。

・乳製品シェア高く、飲用シェア低い

 乳製品の生産量に占める酪農協の生産または販売シェアを見ると、脱脂粉乳
(81%)やバター(65%)で極めて高く、ホエイ(48%)やナチュラルチーズ
(43%)でも約半分のシェアを持っている。これに対し、飲用乳(16%)やアイ
スクリーム類(10%)ではかなり低くなっている。酪農協が保存性の高い乳製品
の加工部門を自ら抱えることにより、高い乳価の確保に向けて努力してきた姿が
うかがえる。

表6 乳製品製造または販売酪農協数
     および生産に占めるシェア
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 資料:Manchester and Blayney


3 これまでの酪農制度

 米国酪農は、@加工原料乳については、49年以来、加工原料乳価格支持制度に
より、A飲用牛乳については、37年以来、FMMO制度(注:その前身は33年農業
調整法)により、それぞれ最低価格を設定することなどにより保護されてきた。
これらは、米国酪農制度の両輪とも言える。

 また、このような国内価格支持制度を実効あるものとするため、乳製品の輸入
については51年から輸入の制限が開始され、55年にはガット25条に基づくウェー
バー(一定の条件の下での関税譲許および輸入数量制限廃止の義務免除)を取得
し、これに基づく輸入制限が94年まで維持されてきた。ガット・ウルグアイ・ラ
ウンド(UR)合意に基づき、95年にウェーバーは関税化されたものの、高い関税
が設定されたため、実質的には現在でも乳製品の輸入は従来通り制限されている。
この結果、輸入乳製品の国内消費に占める割合は、依然3%未満となっている。


(1)加工原料乳価格支持制度

・乳製品買い上げによる間接的支持

 加工原料乳価格支持制度は、USDAの1機関である商品金融公社(CCC)が加
工原料乳の支持価格水準に見合う価格で乳製品を買い上げることにより、加工原
料乳の価格を間接的に支持しようとする制度である。買い上げの対象となる乳製
品はチーズ、バターおよび脱脂粉乳である。これら乳製品の買い上げ価格は、加
工原料乳の支持価格から逆算して求められる。

 96年農業法に基づき、96年〜99年までの加工原料乳支持価格水準があらかじめ
規定されており、99年は100ポンド当たり9.9ドル(23.1円/kg:1ドル=106円)
であった。これに対応する乳製品買い上げ価格は、@乳脂率3.67%の生乳100ポ
ンドからバター4.48ポンド、脱脂粉乳8.13ポンド、チーズ10.10ポンドが生産され、
かつ、Aバターおよび脱脂粉乳の製造経費は生乳100ポンド当たり1.22ドル、チ
ーズの製造経費は同1.37ドルという前提で、これに、Bバター・脱脂粉乳の価値
比率、チーズに対するホエイの評価額などを加味して求められる。具体的な買い
上げ価格は表7の通りである。

 こうして買い上げられた乳製品は、市場価格に影響を与えない範囲で用途無指
定の国内販売も可能であるが、その多くは国内および海外向けの無償食料援助に
用いられている。

表7 乳製品の買い上げ価格
  (加工原料乳支持価格9.9ドルの場合)
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 資料:USDA、CCC
  注:脱脂粉乳の強化とは、米保健社会福祉省食品医薬品局(FDA)
    の基準に従ってビタミンA・Dを添加した製品である。


(2)連邦ミルク・マーケティング・オーダー制度

 FMMO制度は、生乳価格を合理的な水準で安定させることにより、生産者に対
しては安定的な市場を確保するとともに、消費者に対しては合理的な価格で十分
な量の良質な飲用乳を供給することを目的としている。

 生乳は、品質基準の比較的緩やかな加工用規格(グレードB)生乳と飲用規格
(グレードA)生乳の2つに分類される。加工用規格生乳は飲用に仕向けること
はできない。生乳の品質向上により、現在では全生乳生産量の95%程度が飲用規
格生乳となっているため、飲用規格生乳は飲用ばかりでなく加工にも仕向けられ
ている。本制度は、この飲用規格生乳を規制する制度である。

・用途別最低取引価格の設定とプール乳価での支払い

 本制度は、@オーダー地域内で取引される飲用規格生乳について、用途別の最
低取引価格を設定するとともに、A生乳取扱業者に対して、生産者へのプール乳
価での支払いを義務付けている。

 飲用規格生乳は、その用途に応じてクラスT、クラスUおよびクラスVの3区
分に分類され、それぞれ最低価格が設定される(表8の現行用途区分の項参照)。 

 それぞれのクラスごとの最低価格は、次のようにして設定される。まず、第1
に、チーズやバター向けなどハード乳製品に仕向けられる生乳を対象としたクラ
スVには、加工用規格生乳の相対取引価格であるミネソタ・ウィスコンシン(M
―W)価格に乳製品の価格変動を加味して求められるBFP(=加工原料乳価格:
95年5月から導入)がそのまま適用される。第2に、クリームやヨーグルトなどの
ソフト乳製品に仕向けられるクラスUには、BFPに30セント上乗せした価格が設
定される。さらに、飲用乳に仕向けられるクラスTには、伝統的加工原料乳地帯
であるM−W地域からの生乳の輸送コストなどを加味して各オーダーごとに設定
されるクラスT差額を加算して設定される。数式で示せば以下の通りである。数
値は生乳100ポンド当たりで設定されている。

  クラスV=BFP
  クラスU=BFP+30セント
  クラスT=BFP+クラスT差額

 ただし、生産者受取価格は、こうして設定される最低価格に、多くの場合、酪
農協などの交渉により上乗せされるオーバー・オーダー・プレミアムが加算され
る。このオーバー・オーダー・プレミアムは飲用規格生乳全体が対象となる。

 なお、生乳の最大生産州であるカリフォルニア州などはFMMO制度には参加し
ていないため、本制度の下で生産される生乳は全生乳生産量の70%程度とされて
いる。しかし、そのカリフォルニア州も、州独自の制度により生乳取引と価格の
規制を行っている。


4 酪農制度の改革

(1)制度改革論議の背景

 96年農業法策定の過程で制度改革が論議されることとなったのは、以下の4つ
の理由が重なったためであるとされている。第1に、現在の酪農制度の基礎が制
定されたのは、約60年前の1930年代であり、酪農・乳業を取り巻く状況が大きく
変化しているという認識である。第2に、他の農産物分野における市場志向型政
策への移行に合わせ、酪農制度も同様の方向に改革する必要があるのではないか
という認識である。第3に、当時の財政事情の観点から、加工原料乳価格支持に
係る予算を削減する必要があったということである。第4に、このような認識を
後押ししたのがUR合意である。すなわち、世界貿易機関(WTO)協定において、
@国内支持政策として「黄色」の政策に該当する加工原料乳価格支持に係る予算
の削減の必要性があったこと、A国際貿易自由化の流れの中で、世界市場におけ
る米国乳製品の競争力の強化を図る必要性があると考えられたことである。

 このため、従来から市場志向型の政策を推し進めてきた共和党が40年ぶりに議
会を支配するという背景の下で、米国は、96年農業法において、60年ぶりの酪農
制度の改革へと踏み切ったのである。


(2)96年農業法における規定

@加工原料乳価格支持制度の廃止

 加工原料乳価格支持制度については、96年の支持価格をそれまでの100ポンド
当たり10.10ドルから10.35ドルに引き上げ、その後、毎年0.15ドルずつ段階的に
引き下げ、99年の9.9ドルを最後に、2000年1月1日以降これを廃止することとさ
れた。併せて、前年の生産を上回った生産者から課徴金を徴収する制度が廃止さ
れ、生乳生産を調整する措置が廃止された。

 他方、価格支持制度廃止の代替措置として、2000年〜02年までの3年間、乳業
者(乳製品を製造する酪農協を含む。)に対して、質流れのできないリコースロ
ーン・プログラムが導入されることとされた。本プログラムにおいては、乳業者
は乳製品(対象乳製品はチェダーチーズ、バター、脱脂粉乳)をCCCに預け入れ
ることにより、CCCから生乳100ポンド当たり9.9ドルに相当する単価で融資を受
けることができる。乳製品の流通量の調整により、市況の安定化を図ろうとする
ものであるが、年度内に市況が回復しない場合は、低価格での販売を余儀なくさ
れるものであり、質流れにより融資資金の返済義務が免除される穀物のローン制
度とは質的に大きく異なる。
 
AFMMO制度の改革:オーダー(地域)の再編統合など

 FMMO制度について、96年農業法は、3年以内で改革を完了し、99年4月までに
新しい制度を発足させるよう規定した。これを受けて、USDAは、99年1月から新
しい制度が発足するという実施計画を立て、これを公表している。

  96年農業法は、飲用牛乳流通の広域化、供給地域の輻輳(ふくそう)、乳価の
地域間格差の是正などに配慮し、オーダー数を33(当時:99年12月時点で31)か
ら10〜14に再編統合することなどを規定した。
 
B北東部諸州酪農協定の創設

 96年農業法は、農務長官に対して、一般からの支持が得られることを条件とし
て、北東部(ニューイングランド地域)の6つの州が地域酪農協定を締結するの
を許可する権限を与えた。96年8月、北東部諸州酪農協定の創設が認められ、同
地域においては、FMMO制度の改革が実施されるまでの間、FMMO制度の定める
飲用牛乳の最低価格とは別に、生乳100ポンド当たり16.94ドル(39.6円/kg)の
最低価格を設定することができることとなった(注:FMMO制度に基づくクラス
T価格がこの水準を下回った場合に適用される)。


(3)その後の改革過程

 96年農業法の成立に伴い、USDAは97年までの2年間にわたり度重なる公聴会を
開催するとともに、FMMO制度改革の議論の基礎となるオプション・ペーパーを
作成・公表した。最大の争点となったクラスT差額の算定方法については、97年
3月に公表されたペーパーで6つのオプションが示された。これに対し、数多くの
コメントが寄せられ、USDAは98年1月にオプションを2つに絞った最終規則案を
提案した。さらに、この最終規則案に対するコメントを踏まえ、99年3月、US
DAは最終規則を公表した。

 この最終規則は、99年8月、新しく統合される予定の11のオーダー(地域)ご
とに生産者の全体投票にかけられ、いずれの地域においても90%以上の賛成多数
により承認された。しかしながら、この結果をそのままうのみにすることはでき
ない。なぜなら、仮に生産者がUSDAの最終規則に反対すれば、FMMO制度自体
が廃止されることになるという厳しい選択だったからである。すなわち、生産者
はFMMO制度が廃止されるよりは、USDAの改革案の方がまだましだという消極
的賛成票を投じたにすぎなかったのである。

・改革は後退に次ぐ後退

 このようにして鬱積(うっせき)した生産者の不満は、その後、@9月にUSDA
の最終規則を修正し、現状とほとんど変わらないクラスT差額(オプション1A)
の採用などを含む法案(HR1402)の下院通過、A10月に加工原料乳価格支持制度
の1年間の延長を含む2000年度農業歳出法案の可決、そして、B11月にはFMMO制
度改革案の修正法案を含む2000年度包括統合予算法案の可決へと導き、最終的に
は、USDAの最終規則は覆されることとなった。

 実施期限の観点から見れば、96年農業法により規定された99年4月1日というFM
MO制度改革の実施期限は、@98年10月に可決された99年度包括歳出法案の関連措
置として99年10月1日へと6ヵ月間延期され、さらに、A99年9月、3つの地域で生
産者団体がUSDA案は96年農業法および37年農業取引協定法に違反しているとして
訴訟を起こし、10月1日からの実施も当面延期状態となった。結果的には、B上記
11月のFMMO制度改革案の修正法案を含む2000年度包括統合予算法案の可決により、
予定より8ヵ月遅れて、また、USDAの計画からは1年遅れて、FMMO制度の改革が
実施に移されることとなった。


5 新酪農制度

(1)加工原料乳価格支持制度:1年間延長

 99年10月、加工原料乳価格支持制度の1年間の延長を含む2000年度農業歳出法
案が可決された。この結果、2000年12月31日までは、現行の加工原料乳支持価格
と同水準の100ポンド当たり9.9ドルで同制度が維持されることとなった。

(2)連邦ミルク・マーケティング・オーダー制度

@オーダー数は11に再編統合

 現在31あるオーダーが、96年農業法の規定の範囲内である11に再編統合される
こととなった。統合に当たって、プール乳価に最も大きな影響を及ぼすクラスT
仕向け割合の近似した地域を統合することにより、統合される地域同士の乳価水
準が大きく変動しないようにとの配慮がなされ、結果的に、オーダーの再編統合
には大きな反対もなく、USDA案通りに実施に移されることとなった。

 再編統合に大きな反対が生じなかったもう1つの理由は、オーダーごとに乳価
がプールされるとはいえ、実際には、基準地点からの距離に応じた輸送コストな
どに配慮し、全国に約3千ある郡ごとに、それぞれ特定のクラス1差額が設定され
ることになったからである。従来も、各オーダーの中で、消費地からの距離に応
じた乳価ゾーンが設定されていたが、郡単位の設定ではなかったため、同一郡内
において乳価の不整合が生じていた。今回の郡単位でのクラスT差額の設定によ
り、乳価の不整合が解消されることとなるばかりでなく、郡単位で生産者乳価に
格差が設けられることとなるため、オーダーの統合による乳価の変動はより緩和
されることになる。

◇図3:新旧ミルク・マーケティング・オーダー◇
99年12月現在のミルク・マーケティング・オーダー(31地域)

re-usg03a.gif (31253 バイト)

2000年1月から実施された新たなミルク・マーケティング・オーダー(11地域)

re-usg03b.gif (34918 バイト)

資料:AMS/USDA
A用途区分の4区分への再分類

 生乳の用途区分については、USDA案通り、従来の3区分(一部地域では4区分)
から4区分に再分類されることとなった。従来のクラスVが、チーズを対象とす
るクラスVとバターおよび粉乳を対象とするクラスWに分離された以外、大きな
変化はない。

B多成分価格形成システムに基づく新基礎価格の導入

 加工用規格生乳(グレードB)が全生乳生産量の5%程度しか生産されなくな
った現在、これを基礎として飲用規格生乳の最低価格を設定する方式には、多く
の関係者が疑問を持つようになっていた。そこで、これまでのBFPに代わり、US
DA案通り、乳成分の価値に基づく多成分価格形成システムが採用されることと
なった。この方式では、チーズ、バター、ホエイおよび脱脂粉乳の取引価格から
乳たんぱく質、乳脂肪、無脂固形分などの価値を求め、その価値から乳価を逆算
して求めるものである。このため、USDAは、従来のチーズ価格に加え、バター、
ホエイおよび脱脂粉乳の取引価格についても全国工場調査を開始している。

・クラスT基礎価格およびクラスT価格

 当月のクラスT基礎価格(従来のBFPに相当)は、前月の23日またはそれ以前
の金曜日に公表される。その算定に当たっては、その直前の2週間のUSDAによる
乳製品調査価格の加重平均価格が用いられる。このクラスT基礎価格には、USD
Aの一般的な説明に従えば、クラスVまたはクラスW価格のうちいずれか高い方
の価格が適用される(注:より厳密に言えば、クラスVまたはクラスWの脱脂乳
価格のうちいずれか高い方の価格に乳脂肪価格を加算した価格が適用される)。
各オーダーごとのクラスT価格は、このクラスT基礎価格に各オーダーごとに設
定されるクラスT差額を加算して求められる。

 従来の制度の下では、当月のBFPは、1ヵ月前の加工原料乳取引価格を基に、同
1ヵ月前と当月の乳製品取引価格の変動を加味して算定され、その翌月の5日また
はそれ以前の金曜日に公表されていた。さらに、この当月のBFPは、その2ヵ月後
(公表の翌月)のクラスT価格の基礎として用いられており、毎月、乳製品価格、
ひいてはBFPが大幅に変動する現状の下では、しばしば飲用向け乳価と加工向け
乳価の逆転が生じるなど、そのタイム・ラグが問題とされていた。

 今回の制度改正により、飲用向け乳価と加工向け乳価のタイム・ラグが1ヵ月
短縮されることになるばかりでなく、価格公表時点の観点から見れば、さらに10
日以上短縮されることになり、市場の価格シグナルがより早く生産者に伝わると
いうメリットがあるとされている。
 
・クラスU価格

 当月のクラスU価格は、前月の23日またはそれ以前の金曜日に公表される。そ
の算定に当たっては、その直前の2週間のUSDAによる乳製品調査価格の加重平均
価格が用いられる。クラスU価格は、USDAの一般的な説明に従えば、クラスW
価格に70セントを加算して求められる(注:より厳密に言えば、クラスWの脱脂
乳価格に70セントを加算したものに、乳脂肪価格を加算して求められる)。

 従来の制度の下では、BFPに30セントを加算して求められていたことから、加
算額が2倍以上に増額されたことになる。

 クラスUの価格算定・公表のタイミングは新旧制度ともクラスTと同じ扱いな
ので、タイム・ラグに関しては、クラスT価格と全く同様のことが言える。
 
・クラスV価格

 チーズ向け価格(クラスV)とバター・脱脂粉乳等向け価格(クラスW)を分
離したのは、これらの乳製品の市場は2つの別々の市場であるとの認識に基づい
ている。

 当月のクラスV価格は、翌月の5日またはそれ以前の金曜日に公表される。し
たがって、公表のタイミングはこれまでのBFPと同じである。その算定に当たっ
ては、公表の前月のUSDAによる毎週の乳製品調査価格の加重平均価格が用いら
れる。このクラスV価格も、クラスTおよびUと同様、乳製品価格から求められ
る脱脂乳価格に乳脂肪価格を加算して求められる。
 
・クラスW価格

 当月のクラスWのバターおよび脱脂粉乳等向け価格は、クラスV価格同様、翌
月の5日またはそれ以前の金曜日に公表される。したがって、公表のタイミング
は、クラスV同様、これまでのBFPと同じである。その算定に当たっては、クラ
スVと同様、公表の前月のUSDAによる毎週の乳製品調査価格の加重平均価格が
用いられる。このクラスW価格も、クラスVと同様、乳製品の価格から求められ
る脱脂乳価格に乳脂肪価格を加算して求められる。ただし、クラスVとクラスW
とでは、計算に用いられる乳製品の種類が異なる。

 なお、各クラスの最低価格の算定方法は極めて複雑なので、厳密な計算方法な
どについては、別途、本報告書の末尾に参考として記載した。

表8 用途区分の新旧比較
re-ust08.gif (5981 バイト)
 注:グレードAは、FDAが示す基準に従い、各州が定める飲用向け生乳基準を
   満たしたもの。グレードBはUSDAが示す基準に従い、各州が定める加工
   原料乳基準を満たしたもの。

表9 用途別成分価格算定に用いられる乳製品
re-ust09.gif (2950 バイト)
資料:USDA、AMS資料より作成
 注:無脂固形分は、クラスVの場合、乳たんぱく質およびその他の固形分と
   読み替える。

CクラスT差額に3つの起点

 最終的に導入されたクラスT差額は、従来のクラスT差額に極めて近似してい
る。オーダー(地域)ごとのクラスT差額が全国的に統一化されたシステムとな
り、さらに、郡単位で差額が設定されている。クラスT差額は、従来はウィスコ
ンシン州オークレア市を唯一の起点として設定されていたのに対して、新しい制
度では、3つの生乳供給過剰地域(同中西部北部のほか、西部、南西部)を起点
とした。これらの地域には1.6ドルのクラスT差額を設定し、フロリダ州の一部
の地域で最大4.3ドルのクラスT差額が設定されている。


(3)北東部諸州酪農協定

・合計2年半の延長

 96年農業法により、北東部諸州酪農協定は、FMMO制度が実施される99年4月
をもって廃止される予定であった。しかしながら、98年10月に可決された99年度
包括歳出法案の関連措置として、その廃止期限が同年10月1日へと6ヵ月間延長さ
れた。また、99年9月、バーモント州、ワシントンDCおよびテキサス州フォー
トワースの3つの地域で、生産者団体が連邦裁判所に対して、USDAのFMMO制度
改革案は96年農業法および37年農産物取引協定法に違反しているとして訴訟を起
こしたことを受けて、連邦地区裁判官の指令により、10月1日からの廃止も当面
延期状態となっていた。さらに、先に挙げたFMMO制度の修正法案を含む2000年
度包括統合予算法の成立により、2001年9月30日まで2年間延長されることとなり、
結果的に、北東部諸州酪農協定は、96年農業法による規定に比べ2年半延長され
ることとなった。


(4)リスク管理対策

・2つのパイロット事業の実施

 96年農業法により、酪農オプション・パイロット・プログラム(Dairy Options 
Pilot Program)が導入され、加工原料乳価格支持制度の段階的廃止に伴う乳価の
低落に対して、農家がBFPのプット・オプション(先物市場で売る権利)を購入
することにより、オプション取引を通じたリスク管理対策が試行されている。こ
の事業に対しては、USDAが取引手数料の30ドルおよび保険料に相当するプレミ
アムの80%を助成しており、2000年以降も引き続き実施されることとなっている。

 また、今回の2000年度包括統合予算法の一環として、クラスU、クラスVおよ
びクラスW向け生乳について、生産者または酪農協が乳業者と先物取引契約を結
ぶことを可能とする酪農先物価格形成パイロット・プログラム(Dairy Forward 
Pricing Pilot Program)が導入される。USDAは、90日以内に新しいプログラムを
策定することが求められており、本事業は2004年12月31日まで有効である。


6 残された課題

(1)加工原料乳価格支持制度の延長

 99年10月に可決された2000年度農業歳出法案により、加工原料乳価格支持制度
が1年間延長されることとなったが、その後はどうなるのであろうか。この点に
ついて、全国生乳生産者連盟(NMPF)は、1年間の延長は予算上の技術的な問題
であって、実質的には96年農業法の実施期間である2002年まで延長が確保されて
おり、次期農業法においても、当然のことながらその存続を議会に働きかけてい
くとしている。2月7日に議会に提出された2001年度(2000年10月〜2001年9月)
予算案において、クリントン政権は、早くも加工原料乳価格支持制度のさらなる
延長を提案している。


(2)乳製品製造経費の算定

 NMPFは、今回の新しい価格形成システムの中で、チーズの製造販売経費見合
額が過大に設定されているため、生産者価格の低下につながるとして見直しを求
めていた。この結果、2000年度包括統合予算法の一環として、USDAに対して、
クラスVおよびクラスW価格の算定に必要なチーズおよび脱脂粉乳製造経費見合
額の適正な水準を検討するため、公聴会を開催することが求められている。この
製造販売経費の見直しは、2001年1月1日までに完了することとされている。


(3)北東部諸州酪農協定の延長・拡大および南部諸州酪農協定の創設

 北東部諸州酪農協定は2001年9月まで延長が認められているが、これをさらに
延長するのかどうかが再度議論されることとなろう。また、96年農業法は、一定
の条件さえ整えば、6つの大西洋沿岸諸州がこの北東部諸州酪農協定に加わる権
限を与えている。ニューヨーク州、メリーランド州およびニュージャージー州で
は、既に加入を認めるという法案が成立しているものの、最終権限のある連邦議
会が行動を起こしていない状況にある。他方、南部の11の州においては、南部酪
農協定の創設を求める法案が成立しており、いくつかの州がこれに加わろうとす
る動きを示している。

 このような動きに対して、連邦議会がどのように対処していくのか、今後の動
向が注目される。


(4)カリフォルニア州独自の制度との調和

 酪農制度改革論議の背景の項では触れなかったものの、カリフォルニア州独自
の酪農制度との調和を図る必要性があったことも、FMMO制度改革論議の背景に
ある。USDAの担当者の発言によれば、カリフォルニア州は、FMMO制度に比べ
チーズ向け乳価を意図的に低くしてチーズ産業の育成・振興を図る一方、飲用乳
価を高めに設定することにより生産者価格の維持を図っているとしている。この
ため、USDAは、できるだけカリフォルニア州の制度と調和の取れた制度に改革
し、できればカリフォルニア州をFMMO制度の中に取り込んでしまいたかったの
である。両者の調和が取れない限り、今後とも隣接地域を主体に、いくつかの問
題が生じるものと見込まれる。


7 おわりに

 96年農業法により、60年ぶりの大改革として華々しく取り上げられた米国酪農
制度の改革は、結果的に見れば、予定が次々と延長される中、価格支持制度の廃
止が延期されたばかりでなく、FMMO制度の改革も、最大の争点であった飲用乳
向け生乳のクラスT差額が現状維持的に決定されたことなどから、実質的にはほ
とんど痛みの伴わない形式的な改革だけにとどまったと言っていい。

 2000年1月から、米国酪農は新たな制度の下での運営が開始されたが、先に見
たように残された課題も多い。これらの課題は、96年農業法の改革論議あるいは
それに次ぐ新農業法制定に係る論議の下で改めて議論されることとなろう。

 他方、今回の酪農制度改革の一因となったのが、先のUR合意による農業保護の
削減約束であることを踏まえれば、昨年12月、閣僚会議が決裂するという異常事
態を迎えたとはいえ、間接的に酪農制度改革に影響を与える次期WTO交渉の行方
を見過ごすことはできない。

 新酪農制度の評価は、その実施に伴う米国酪農の変化を中長期的に見据えた上
でなされるべきであり、今後に待つほかはない。他方、利害の輻輳(ふくそう)
する改革がこれで終わったわけではないことだけは確かであり、現に、早くも2
月8日から9日にかけて、上院農業委員会において酪農制度に関する公聴会が開催
されている。したがって、その歩みは亀のようにのろくとも、政治的な妥協を繰
り返しながら、今後とも引き続き改革が続けられるものと見ていいであろう。


(参考文献)

1.USDAによるFMMO制度改革案、議会提出レポート各種
2.「Federal Order Reform」USDA, AMSホームページ掲載資料
3.法案H. R. 1402、H. R. 3428
4.Don P. Blaney, James J. Miller, Richard P. Stillman「Dairy:Background for 
  1995 Farm Legislation」USDA, ERS(95年4月)
5.「1996-97 Dairy Price Support Program」USDA, FSA
6.「米国の酪農乳業」畜産振興事業団(叢書シリーズ18、96年3月)
7.「米国の農業政策」農林水産省経済局国際部国際企画課海外情報室(97年3月)
8.「新農業法下の米国酪農」(社)中央酪農会議(97年)
9.「畜産の情報・海外編」農畜産業振興事業団(97年2月)
10.鈴木宣弘「米国の乳代プール広域化と乳価構造」日刊酪農経済通信(99年9月)

 以上のほか、USDA、NMPFのプレス・リリースおよびインタビュー、各種業界
誌を参考とした。

(補足説明資料)

 新しい連邦ミルク・マーケティング・オーダー制度における乳価の算定方法

・乳価は100ポンド単位で、セント単位に四捨五入される。

・乳成分価格はポンド単位で、100分の1セントの単位に四捨五入される。

・チーズ、ホエイ、バターおよび脱脂粉乳価格は、USDA全国農業統計局(NASS)
 調査による週間価格の加重平均である。
 
クラスT:

 クラスT価格=(クラスT脱脂乳価格×0.965)+(クラスT乳脂肪価格×3.5)
 クラスT脱脂乳価格=クラスVまたはWの脱脂乳先行価格形成因数
        (advanced skim milk pricing factor)のいずれか高い方+対応す
         るクラスT差額
 クラスT乳脂肪価格=乳脂肪先行価格形成因数
        (advanced butterfat pricing factor)+(対応するクラス1差額
         ÷100)
 
・先行価格形成因数は、製品価格が2週間の平均であるものを除き、以下に示さ
れた対応する価格公式を用いて計算される。

クラスU:

 クラスU価格=(クラスU脱脂乳価格×0.965)+(クラスU乳脂肪価格×3.5)
 クラスU脱脂乳価格=クラスW脱脂乳先行価格形成因数+0.70ドル
 クラスU乳脂肪価格=乳脂肪価格+0.007ドル
 クラスU無脂固形分価格=クラスU脱脂乳価格÷9

クラスV:

 クラスV価格=(クラスV脱脂乳価格×0.965)+(乳脂肪価格×3.5)
 クラスV脱脂乳価格=(乳たんぱく質価格×3.1)+(その他の固形分×5.9)
 乳たんぱく質価格=((チーズ価格−0.1702)×1.405)+((((チーズ価格
         −0.1702)×1.582)−乳脂肪価格)×1.28)
 その他の固形分価格=(ホエイ価格−0.137)÷0.968
 乳脂肪価格=(バター価格−0.114)÷0.82

クラスW:

 クラスW価格=(クラスW脱脂乳価格×0.965)+(乳脂肪価格×3.5)
 クラスW脱脂乳価格=無脂固形分価格×9
 無脂固形分価格=(脱脂粉乳価格−0.137)÷1.02
 乳脂肪価格=クラスV参照

生産者価格:

 乳脂肪価格=クラスV参照
 乳たんぱく質価格=クラスV参照
 その他の固形分価格=クラスV参照
 体細胞調整率=チーズ価格×0.0005(小数点以下5桁に四捨五入)
  率は体細胞数1,000当たり


お知らせ

 このたび、当事業団は、北米事務所をデンバーからワシントンD.C.に移転い
たしました。今後、一層充実した情報の提供に努めて参ります。

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