◇絵でみる需給動向◇
タイブロイラー加工輸出業者協会がとりまとめた鶏肉輸出動向(速報値)によ ると、今年1月の鶏肉輸出量は2万4千トンとなり、大きな落ち込みを見せた前年 同月と比較すると、58.3%増と大幅に増加した。 これを形態別に見ると、冷凍鶏肉が1万8千トンで同44.3%増、鶏肉調製品が 5千9百トンで約2.5倍の増加となっており、鶏肉調製品の大幅な伸びがうかが える。 また、輸出先別に見ると、全体の7割を占めるアジア向けは、シンガポール、 香港、韓国などへの輸出量が2倍以上の増加を見せたものの、同地域向けの8割 以上を占める日本への輸出が41.5%増にとどまったことから、全体では54%の増 加となっている。一方、アジアに次ぐ輸出先であるヨーロッパ向けは71.2%と大 幅な増加を見せ、輸出量全体を押し上げる大きなけん引力となった。
99年のアジア向け冷凍鶏肉輸出はおおむね増加傾向を示し、年末の10〜12月に は1ヵ月当たり1万4千トン台を維持していた。しかしながら、今年1月の同地域へ の輸出動向を見ると、大部分を占める日本向けが減少に転じ、前月比10.7%減の 1万トンにとどまったことから、全体としては同10.9%減の1万2千トンとかなり の程度減少した。なお、アジア全体に占める日本の割合も、今年1月は80.0%と なり、前年同月より7.5ポイント減少している。 また、豚に発生したニパ・ウイルスの影響で鶏肉の需要が増加しつつあったマ レーシアでも、食料自給率を高めるという政策転換が図られたことから、今年1 月は昨年6月のピーク時と比較すると、87.6%減の119トンと大幅に減少している。 一方、ヨーロッパ向けも昨年4月から増加傾向で推移していたが、今年1月は 前月比12.5%増の5千5百トンとなり、この傾向がより顕著となった。この要因 としては、主要相手国であるドイツ向けが同37.7%増の3千1百トンになったこ とが大きく、ブレーキがかかり始めたアジア向けとは対照的な様相を呈している。
ヨーロッパ向け冷凍鶏肉輸出が増加傾向を示す一方で、同地域向けの鶏肉調製 品は、減少の兆しを見せている。同地域向けの鶏肉調製品は昨年8月以降、毎月 2千3百トン程度を維持してきたが、今年1月は前月比10.0%減の2千トンとな った。この背景として、これまで好調であったイギリス向けが半年振りに減少に 転じ、前月比3.7%減の1千1百トンになったことが挙げられる。これに加えて、 昨年12月にEU検査官によって、タイの鶏肉処理施設などに対する同地域向けの 輸出基準の検査が行われたことも、一時的には影響を与えていると考えられてい る。 なお、アジア向けの鶏肉調製品は、増加基調で安定して推移している。 ◇図:冷凍鶏肉・鶏肉調整品の月別・地域別輸出動向◇
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