米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○輸入解禁で拡大が見込まれる中国ブロイラー市場


ロシアを抜き最大の輸出先に

 米農務省(USDA)によると、99年の香港(中国を含む。)向けブロイラー輸
出量(可食処理ベース)は、前年を25%上回る63万5千トンとなった。94年以降、
シェア第1位を堅持してきたロシア向けが、同国の経済混乱により激減したこと
から、香港は、初めて最大の輸出先となった。金額ベースでは、99年の香港向け
ブロイラー輸出額は、4億5,500万ドル(約491億円:1ドル=108円)となった。
中国向けは、このうち1割にしかすぎないものの、香港向けの約3分の2は最終的
に中国へ向けられることから、中国への輸出額は、3億5千万ドル(378億円)に
上るとみられる。また、輸出品目は、むね、ももといった正肉のほか、米国を含
めて諸外国では需要の少ないモミジ、手羽、内臓など、多岐にわたっている。

◇図:米国のブロイラー輸出量◇


2国間合意で直接輸出が可能に

 中国は、99年11月の世界貿易機関(WTO)加盟に関する米国との2国間合意で、
家きん肉の関税を現行の20%から2004年には10%に引き下げると約束している。
さらに、中国は今年3月、この2国間合意に基づき、家きん肉の輸入を解禁すると
ともに、USDAが承認した処理施設からの輸入も認めるという、検疫・衛生条件
の見直しを行った。米国産家きん肉については、これまで輸入が2社にしか認め
られず、仕向け先も一部のホテル・レストランに限られていた。こうしたことか
ら、中国へは、従来の香港経由に代わって、直接輸出が今後飛躍的に拡大すると
みられる。


業界は有望市場として熱い期待

 中国の1人当たりブロイラー消費量は、この5年間で28%もの伸びを示し、99年
には5.0kg(可食処理ベース)となったが、その水準は米国の12%、香港の9%に
しかすぎない。ブロイラーは、伝統的な食生活に登場する機会の多い食材である。
さらに、最近では、都市部を中心に、フライドチキンに代表されるファストフー
ドや、冷凍鶏肉や調理済み製品を扱うスーパーマーケットチェーンの発達が著し
い。米国産ブロイラーは、特に、これらの新興市場においてビジネスチャンスの
拡大が期待され、一部の専門家の間では、中国は、5年後には10億ドル(1,080億
円)規模の市場に成長すると試算されている。  このため、業界は、中国の業界
関係者と相互にミッションを派遣するなど、活発な動きを見せる一方、WTO加盟
の前提となる対中通常貿易関係(NTR)恒久化を実現させるため、議会に積極的
な働きかけを行っている。

◇図:ブロイラー1人当たり消費量◇

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