豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○99/2000年度上半期の酪農生産動向


上半期の生乳生産は、前年度比7.7%の増加

 好調な乳製品の輸出を背景に、豪州の酪農生産は今年度も順調な滑り出しを見
せている。

 豪州酪農庁(ADC)によると、99/2000年度上半期(99年7月〜99年12月)の
生乳生産量は、前年度を7.7%上回る62億8千万リットルとなった。今後、乾乳期
を迎え生乳生産は減少が見込まれるが、大きな気候変動などが起きない限り、最
高記録となった98/99年度を更新するのは確実とみられている。

 上半期の生乳生産を州別に見ると、酪農生産の中心地ビクトリア(VIC)州で
は、前年度比8.6%増の41億4千万リットルとなり、豪州生乳生産量全体の約66%
を占めた。続くニューサウスウェールズ(NSW)州が前年度比7.6%増の7億3
千万リットルとなり、以下サウスオーストラリア(SA)州、タスマニア(TAS)
州が、いずれも7%を超える増加を見せた。

 全州とも前年比はプラスとなり、下半期に向けて、なお一層の増産が期待され
ている。

◇図:州別生乳生産量(99/2000年度上期)◇


好調な輸出を背景に、高い伸びを見せる乳製品生

 99/2000年度上半期の乳製品生産は、豪州国内の飲用乳消費が伸び悩む中で、
輸出の増加を背景に生乳生産を押し上げる原動力となっている。

 品目別の生産動向を見ると、チーズは前年度比8.0%増の18万4千トン、脱脂粉
乳が3.9%増の16万8千トンとなっている。また、乳製品生産に占める割合は少な
いものの、全粉乳が前年度比26.1%の10万7千トンと大きく躍進している。

 そのほか、バターなどの乳製品を含め、上半期の生産はいずれも増加傾向で推
移しており、生乳の増産に合わせて、さらなる生産増加が見込まれる。

◇図:州別乳製品生産量(99/2000年度上期)◇


生乳生産増加も、収益性の悪化が見込まれる酪農経営

 一方、生乳、乳製品とも増産基調で推移する中、3月に行われた豪州農業資源
経済局(ABARE)主催の農業観測会議で、99/2000年度(99年7月〜2000年6月)
の酪農経営の収支見通しが発表された。

 これによると、順調な生乳生産に反して、豪州平均の農場現金収入は、前年度
を6.3%下回る6万7千3百豪ドル(約450万円:1豪ドル=67円)になると見込んで
いる。  

 ABAREでは、生乳生産が増加する中で、酪農経営の収支が悪化する要因として、
飲用乳消費の伸び悩みにより、高値の飲用乳取引が減少することが大きいとして
いる。増産のほとんどは安価で取り引きされる加工原料乳向けとなり、また、配
合飼料価格の上昇も、生産コストを押し上げる大きな要因としている。

 この結果、最終的な酪農家1経営体当たりの農場経営損益(Farm business profit)
は、前年度の黒字から一転して4千豪ドル(約26万8千円)の赤字が見込まれてい
る。

 7月からの生乳取引の自由化を控え、酪農家のコスト低減に向けた努力が求め
られている。

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