NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○生乳、乳製品とも生産増を予測


為替相場、経済成長率ともに控えめな予測

 ニュージーランド農林省(MAF)は、先頃、2002/03年度までの酪農産業の短
中期的な需給見通しを公表した。需給見通し策定の基礎となる主要経済指標を見
ると、米ドルに対するニュージーランド(NZ)ドルの為替相場については、99
/2000年度が1NZドル当たり53米セントと、前年度とほぼ同程度の水準としてい
る。MAFでは、1次産品を中心とした今後の輸出拡大を背景に、わずかながらNZ
ドル高傾向で推移するとみており、2002/03年度においては1NZドル当たり56米
セントと仮定している。また、経済見通しについては、ここ数年、2%台の成長
率で推移していることから、2002/03年までの成長率を年率2.6〜3.0%としてい
る。為替相場、経済成長率ともに現状をベースとした控えめな水準の予測となっ
ている。


2002/03年度の生乳生産量は1,311万トンへ

 99/2000年度の生乳生産量は、好調な輸出需要を背景に、経産牛頭数の着実な
増加と、干ばつから一転して気候条件に恵まれたことが幸いし、前年度を11.2%
上回る1,201万トンに達すると見込んでいる。MAFでは、中期的な生乳生産量の見
通しについて、輸出需要が今後とも拡大基調で推移するとしており、それに伴い
基本乳価も酪農家の生産意欲を刺激する水準での上昇が見込まれることから、20
02/03年度には1,311万トンまで達すると予測している。

◇図:生乳生産と基本乳価の見通し◇


全粉乳、バターを中心に乳製品生産は拡大

 生産の9割以上を輸出に向ける乳製品の生産見通しについては、生乳生産の増
加と輸出の拡大に支えられ、全体的に増加傾向で推移するとしている。品目別で
見ると、最大の輸出品目となる全粉乳生産は、大手乳業メーカー(酪農協)が生
産力を増強していることや、アジア、南米向け輸出の強化などにより一貫して増
加傾向で推移し、2002/03年度には49万8千トンに達すると見込んでいる。また、
バターについては、ロシア国内の需要回復により輸出が増加し、44万5千トンを
見込んでいる。チーズ、脱脂粉乳など他の主要乳製品の生産動向については、全
粉乳、バターほどの生産量は期待できないものの、アジア向けを中心とする着実
な輸出増が増産を促すとしている。高付加価値化へと移行するNZの乳製品生産は、
輸出競争力を支える大きな原動力となっている。

◇図:乳製品の生産見通し◇


輸出競争力強化を追求する乳業メーカー

 NZ酪農乳業界では、ここ数年来、政府の規制緩和政策をきっかけに全面的な
業界再編が進められている。乳業界では、2大乳業メーカーを中心に、NZ生乳生
産量の約94%に当たる年間生乳処理量1千万トンを超える巨大乳業メーカーの設
立計画が進められるなど、活発な動きを見せている。現在、その計画も暗礁に乗
り上げており、具体的実現までにはかなりの時間を要すると思われるが、次期世
界貿易機関(WTO)交渉に向け、輸出競争力を高める動きが進んでおり、引き続
きその動向を注視していく必要がある。

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