米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○99年、輸出は脱脂粉乳、輸入はチーズが前年超


DEIPおよび関税割当を実施

 米国は、7,400万トン(99年)の生乳生産量を誇り、世界有数の乳製品生産・
消費国となっている。しかし、乳製品の国内価格は、概して国際価格に比べて高
価であることから、国際競争力に乏しい。このため、輸出面では、輸出補助金と
もいうべき乳製品輸出奨励計画(DEIP)、また、輸入面では、関税割当制度の下、
ミニマムアクセスを超えた輸入に対する高率関税の設定などの措置が講じられて
いる。ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意により、DEIPの削減およびミニマ
ムアクセスの拡大が行われているものの、国内生産に占める割合は、輸出入とも
3%程度(乳脂肪ベースの生乳換算値)にとどまっている。

◇図:乳製品の国内価格と国際価格の差◇


国際市況がタイトな中、脱脂粉乳輸出が躍進

 このような枠組みの中、99年における主要乳製品の輸出量は、バターが前年比
64.2%減の3,200トン、脱脂粉乳が同65.7%増の12万1千トン、チーズが同4.0%増
の3万8千トンとなった。脱脂粉乳の輸出が大幅に増加した要因としては、アジア
や中南米諸国の需要が拡大する中で、EUの輸出補助金削減に伴い国際価格が99年
後半に上昇し、国内価格との差が縮小したため、輸出環境が好転したことが挙げ
られる。また、政府買い上げの増加など国内需給が緩和する状況の中、輸出圧力
が強まったこともあり、DEIPに基づく脱脂粉乳輸出は、極めて活発となった。こ
れに対しバター輸出は、国際価格と国内価格との差が縮まったものの、ロシアな
どの需要が振るわない上、チーズに代表される乳脂肪の国内需要が旺盛なため輸
出に仕向けられる量が限定的となり、前年を大きく下回る結果となった。国別で
は、バターおよび脱脂粉乳はメキシコ、チーズは日本がそれぞれ最大の輸出先と
なっている。

◇図:主要乳製品の輸出量◇


輸入はチーズが順調な伸び

 一方、99年における主要乳製品の輸入量は、バターが前年比43.7%減の1万8千
トン、脱脂粉乳が同15.6%増の5,700トン、チーズが同20.3%増の20万トンとなっ
た。中でもチーズは、国内需要の高まりを反映して、ミニマムアクセスを超えた
2次税率分の輸入でも前年を16.7%上回った。しかし、USDAでは、2000年の乳製
品輸入について、国内価格の低下が見込まれることから、2次税率分の輸入は減
るとみている。なお、99年の国別輸入状況を見ると、バターおよび脱脂粉乳はニ
ュージーランド、豪州、チーズはこれらオセアニア諸国のほか、EUが主な輸入元
となっている。

◇主要乳製品の輸入量◇

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