99年のアルゼンチン牛肉輸出量は前年比13%増


価格競争力の強化などが要因

 アルゼンチン農牧水産食糧庁の発表(速報値)によると、99年の牛肉輸出量は、
前年比13%増の33万トン(枝肉ベース)となった。輸出量の増加は、価格競争力
を持った国内の去勢牛価格、新規市場の開拓、ミレニアム特需による第4四半期
の堅調な需要によるもので、特に、米国とカナダ向け生鮮肉輸出量の伸びが著し
かったとしている。


北米向け輸出増が顕著

 農畜産品衛生事業団(セナサ)の統計(速報値)による主要相手国別の輸出内
訳(製品重量ベース)を見ると、米国向けが前年比38%増の4万3千2百トン、チ
リ向けが10%増の4万1千6百トン、ドイツ向けが1%減の2万9千2百トン、ブラジ
ル向けが9%増の2万3千6百トン、カナダ向けが10倍の1万6千2百トンなどとなっ
た。

  米国向けの輸出量は、加工肉が前年比22%減となったが、冷凍肉が大幅に増加
したことから生鮮肉は3.5倍となった。アルゼンチン農牧水産食糧庁では、この
増加は、99年の米国の去勢牛価格が上昇する一方、同年のアルゼンチンの去勢牛
価格が、前年比25%安の0.80ペソ(約86円:1ペソ=108円)/kgで推移したこと
に起因するとしている。
 
 なお、セナサによる99年の主要相手国別品目別牛肉輸出量は、以下の通りであ
る。

アルゼンチンの主要相手国別牛肉輸出量(99年)
arzentin.gif (4896 バイト)
 注:数量は製品重量ベース

2000年の生産見込みは280万トン

 現地有力誌の予測によると、2000年の牛肉生産については、牛飼養頭数は約4,9
00万頭と見込まれ、と畜率を27%とすると、と畜頭数は約1,330万頭、1頭当たり
の平均枝肉重量を210kgとすると生産量は約280万トンとみられている。一方、需
要については、輸出量は35万トン、1人当たりの牛肉消費量は66kgになると予測さ
れている。


世界貿易でより多くの役割を担うには克服すべき課題が

 米農務省が先ごろ発表した在ブエノスアイレス米国大使館の報告書では、アル
ゼンチンが世界の牛肉貿易においてより大きな役割を担うために克服すべきいく
つかの課題を示している。その概要は、以下の通りである。

@  牛肉生産量のうち85%を国内で消費し、多くの若齢牛がと畜されていること

A ここ数年間で繁殖経営と肥育経営は改善されたが、生産性はまだ低いこと

B 主要な海外市場が求める大型の牛を供給するのに十分な肉牛改良が図られて
 いないこと

C 過去5年間で牛飼養頭数は5百万頭以上減少したが、まだ完全に回復していな
 いこと

D 農家段階の低い収益性

E 財政的にぜい弱な食肉加工部門

F 強い自国通貨(同国は、1ドル=1ペソでの通貨交換を保証する実質的な固定
 相場制を採用している。)

G 新規市場の開拓を促進する機関が不足していること

元のページに戻る