メガコープの設立計画が挫折(ニュージーランド)


2大乳業メーカーの合併交渉は決裂

 ニュージーランド(NZ)酪農乳業界では、ここ数年来、政府の規制緩和政策
(各種生産者ボードの見直し)をきっかけに全面的な業界再編が進行している。
この動きに合わせて、現存する7つの乳業メーカー(酪農協)の大部分が合併し、
巨大な乳業メーカー(メガコープ)の設立計画が進められていたが、3月24日、
生乳処理量第1位のNZデイリーグループと第2位のキウィによる合併交渉が決裂し
たため、当該計画は事実上挫折した。

 両メーカーの統合については、効率的な乳製品生産と輸出競争力の強化を目的
に、98年7月に「戦略的提携」が合意され、99年5月には、一部の小規模組合を除
く大部分の乳業メーカーを巻き込み、メガコープと呼ばれる年間生乳処理量約1
千万トン(NZ生乳生産量の約94%)に及ぶ巨大な乳業メーカー設立計画が提案さ
れた。合併交渉の決裂により、7つの乳業メーカーとNZデイリーボードによる現
行の業界体制は、当面、継続される見通しとなった。


メガコープの設立には3つの課題

 NZ政府は、乳業メーカーの動きに合わせるように酪農乳業再建法案を国会に提
出(99年9月)し、これによりメガコープの設立やNZデイリーボードの乳製品一
元輸出権限の撤廃を含む業界再編の枠組みは示された。

 ただし、政府は、当該法案の施行にはメガコープの設立を必須の条件とし、こ
れが実現しない場合には、法案を廃止することを明らかにしていた。

 この時点で、メガコープの設立に3つの課題が残された。第1は各乳業メーカー
が具体的な合併案に合意すること、第2は国内法に基づいて自由取引(独占禁止)
を監視する商業委員会の承認を得ること、第3は各乳業メーカーの組合員75%以
上の賛同を得ることである。このため、酪農乳業関係者は、メガコープ設立に向
けた準備委員会を設け、乳業メーカー間の合併交渉と商業委員会対策を並行して
進めていたが、今回、2大乳業メーカー間で相互の資産評価をめぐる意見調整が不
調に終ったことにより、政府が定めた法案有効期限(2000年9月1日)までに上記
の3つの課題をすべてクリアすることは事実上困難となった。


合併交渉の継続を求めるNZ政府

 この結果について、NZ政府のサットン農林大臣は、十分な交渉期間があったに
もかかわらず2大乳業メーカーが合併に合意できなかったのは非常に残念である
が、政府としては法案の有効期限を延期する考えはないとコメントした。ただし、
両メーカーが合併に合意した場合には法案の期限延長を考慮すると述べ、両メー
カーに対し、相互の利害に固執せず大局的な判断に基づいて合併交渉を継続する
よう強く求めた。

 NZ酪農乳業界は、7つの乳業メーカーとNZデイリーボードによる現行の業界体
制が当面は継続される見通しとなったが、メガコープ設立による業界再編を求め
る意見も酪農関係者を中心に根強く残されており、今後の成り行きが注目されて
いる。

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