◇絵でみる需給動向◇
ブロイラーの生産量が、増加傾向を示している。タイ農業協同組合省が発表し た6月の生産量は、前年同月比0.2%増の7千6百万羽となり、5ヵ月ぶりに前年同 月を上回った。ブロイラーの生産量は、昨年7月をピークに卸売価格(バンコク、 生体)が下落したことによる生産意欲の低下から、ほぼ同時期に減少し始め、1 2月には昨年の最低水準を記録した。1〜3月の小幅な変動の後、4月以降の生産量 は、卸売価格の高騰を背景として増加傾向で推移している。概してブロイラー生 産は、97〜98年における経済危機のさなかの乱高下を経て、最近は比較的安定し ているようである。
最近の生産増を助長した要因の1つとして、生産費が低下傾向にあることが挙 げられる。タイ農業協同組合省が公表した6月のブロイラー1kg当たりの生産費は 23.4バーツ(約61円:1バーツ=2.62円)となり、前年同月を10.2%下回った。今 年の生産費は、3〜4月に前年をやや上回った以外は、いずれの月も前年同月を10 %前後下回っており、これが生産農家の増産意欲にもつながっているものと思わ れる。なお、生産費は年々低下する傾向を見せており、99年には、周年にわたり 前年の水準を下回っている。 ◇図 ブロイラーの生産費◇ 今年の生産コストの内訳を見ると、飼料費に次いで高い比率を占めるひな費の 急激な低下が目立っており、飼料費や労賃をはじめとした他の変動費および地代 などの固定費にはあまり変化が見られない。ひな生産はインテグレーター企業に よって行われるケースが多いが、今のところ、生産費の減少分はこれらの企業が 負担していることになり、こうした状況が長引けば、ひなの生産基盤の弱体化に つながることも懸念される。 ◇図 ひな価格の推移◇ なお、同省畜産局によると、EUが薬物残留の排除や動物福祉などの観点から、 タイにおけるEU向け養鶏の飼養方法の変更を要求しているとされる。タイでは、 基本的にこうしたEUの基準に従う意向を示していることから、今後、これに要す る生産コストの上昇は避けられないとみる向きも多い。
これらに加え、種鶏の輸入羽数が増加傾向にあることも、生産を増加させる要 因の1つとして見逃せないものと思われる。今年5月の原種と原々種を合わせた種 鶏の輸入量は、前年同月比38.2%増の19万7千羽となっている。輸入羽数は昨年9 月から今年5月までの間、前年を上回る水準で推移している。 ◇図 種鶏輸入羽数◇
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