ブラッセル駐在員事務所 山田 理、島森 宏夫
ボーフォールチーズの名称の基となっ たボーフォール村の中心街(標高640m)。 アルプスの山を背景に、観光(ハイキン グ、スキー)と酪農がこの地域の重要な 産業となっている。 |
フランス第2の都市リヨンから 西へ約150km。モンブランなどの 山々が連なるアルプス山地の中 央部 |
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山の放牧場(標高1800m)。5〜10月 までの6ヵ月間は、数戸の酪農家が共同 で放牧を行う。飼料となる高地の花や 草が生乳に独特のフレーバーを与え、 良質なチーズを産み出す(写真の品種 はアボンダンス)。 |
移動搾乳機での搾乳。夏の放牧期間は、 花や草を追って牛が移動(標高1100〜 2200m)するため、搾乳機もトラクター で移動する。秋に里に下ろされた牛は、 長い冬を畜舎で過ごす。 |
ひとくちメモ ボーフォールチーズは、スイスやフランスのアルプス地域で生産されるグリュ イエール・チーズの一種で、世界的にも高い品質が評価され高値で取引されてい る。原産地呼称管理(AOC)制度の下、フランスのサヴォア県東部山岳地帯で一 定の基準に基づいて生産されたものだけが、ボーフォールチーズと表示できる。 地元の約800戸の酪農家が生産したタリーヌ種、アボンダンス種の生乳のみを用 いて、8つの協同組合と20の個人業者が年間4千トンのボーフォールチーズを製造 している。生産条件の不利なこの地域の酪農家にとって、ボーフォールチーズは 経営安定のために欠かせないものとなっている。
搾乳された生乳は、昔ながらの集乳缶 で毎朝チーズ工場に運ばれる。1キロリ ットルの生乳からは2個のチーズ(1個約 45kg)が作られる。 |
生乳は銅製の鍋で32〜34℃に温められ た後、凝乳酵素により凝結される。その 後、52〜54℃までかくはんしながら加熱 される。 |
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亜麻布を用いて乳清を除去し、カードを木型に詰め24時間圧縮する。圧縮されたカードは、 この間、5回反転される。 |
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24時間塩水に浸した後、貯蔵庫で7〜 10ヵ月間熟成される。チーズの表皮に 塩をつけて擦り、反転させる作業を週 に2回行う。 |
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