◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、99/2000年度(99年7月〜2000年6月)の生乳生 産量は、前年度比7%増の1,085万キロリットルとなった。これは、今年6月に豪 州農業資源経済局(ABARE)が発表した第1次産品の需給予測をわずかに上回る 結果となり、90/91年度以降の一貫した拡大傾向を引き継ぎ、過去の生産量の記 録を更新するものとなった。 州別の生産動向を見ると、各州とも増産となる中で、前年度比10.5%増となっ たサウスオーストラリア(SA)州の伸びが最も大きい。生乳生産の約6割を占め るビクトリア(VIC)州では同8.5%増、乳製品の一大消費地を抱えるニューサウ スウェールズ(NSW)州では同7.2%増と、いずれも拡大している。このように99 /2000年度の生乳生産が増加した要因には、一部地域を除き気象条件が良好で牧 草の生育に恵まれたことと、穀物飼料が安価で推移したことなどが挙げられる。 ◇図 生乳生産量と1頭当たりの乳量の推移◇
豪州の生乳生産量は長期にわたり拡大が続いているが、それを支えるものとし て総飼養頭数の増加に加えて生産性の向上が挙げられる。酪農家戸数は肉畜生産 への経営転換や他産業への移行などによりすべての州で減少が続いている一方で、 1戸当たりの飼養頭数は着実に増加している。さらに、育種改良などにより1頭当 たりの乳量が大幅に増加していることから、生乳生産量はここ10年で73.2%の増 加となっている。しかしながら酪農家の経営状況は、経営の大規模化などにより 収益性の向上を図っているものの、長期的な乳価の伸び悩みから一様に右肩上が りとはならず、依然として厳しいものがある。 ◇図 酪農家戸数および1戸当たり経産牛飼養頭数の推移◇
放牧主体とされてきた豪州の酪農は、穀物飼料給与の増加により生産性の向上 を果たし、生乳生産量を増加させる一因となっている。ABAREによると、2000/ 01年度の穀物生産は、春に収穫される冬作物について豊作が予測され、価格的に は安値が期待できるが、一方で病害虫による被害が伝えられており、収穫への影 響も懸念される。また、夏作物については良好な生育条件が予想されることから、 特にVIC州南部とタスマニア(TAS)州北部において、生産の増加が予測されて いる。このため、99/2000年度に続き穀物飼料の安値が見込まれることから、20 00/01年度も引き続き生乳の増産基調を維持するための支援材料となることが期 待できる。 ◇図 飼料穀物価格の推移◇
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