EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2000年の域内における乳製品需給の動向


堅調に推移する脱脂粉乳価格

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)は、2000年のEU域内の主要乳製品につい
ての需給動向を発表した。域内の乳製品は、脱脂粉乳に見られる価格高騰やバタ
ー需要の不振などいくつかの課題に直面しており、その動向が注目されている。

 特に、脱脂粉乳については生産が減少傾向をみせており、域内外からの需要が
高まる中で価格は大きく上昇している。

 脱脂粉乳価格の指標の1つとなるドイツ工場渡し価格は、9月にキロ当たり5.06
マルク(約248円:1マルク=49円)を記録し、13ヵ月連続で前年実績を上回った。
また、国際市場の価格についても、9月はトン当たり2,100ドル(約22万9千円:
1ドル=109円)と全脂粉乳価格を上回って推移した。


在庫増が見込まれるバター、好調なチーズ生産

 脱脂粉乳やバター生産が減少を見せる中で、チーズ生産は勢いを増している。
輸出補助金が引き下げられる中で、乳製品生産に占めるそれぞれのバランスも徐
々に変化しつつある。

(脱脂粉乳)

 脱脂粉乳は、チーズなどへの原料乳供給の移行により生産減が予測されている。
このため、2000年の域内流通量は、在庫量を加味しても前年実績を5%下回る147
万トンと見込まれている。一方、需要については、供給量を上回る消費、輸出の
拡大が予想されていることから、最終的な期末在庫は12万トンと、ここ数年の最
低水準を記録し、介入在庫も大幅に減少すると見られる。

 域内需要については、飲用向けの伸びもさることながら、飼料向けの拡大が目
立っており、今後の需給バランスに影響を与える材料となっている。

EUの脱脂粉乳需給の動向
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 資料:ZMP
  注:2000年は予測値

(バター)

 バターについては、脱脂粉乳生産の減少と需要の低迷を受け、前年を2%下回
る生産の減少が見込まれている。しかしながら、消費不振、価格競争に伴う輸出
減が予想されていることから、最終的な期末在庫は21万トンと、前年に引き続き
拡大すると予想されている。

 拡大するバター在庫を減少させるため、各国では販売の促進を進めてはいるが、
脂肪分を敬遠するという消費し好の中で、在庫の上積みは避けられないものとみ
られている。

EUのバター需給の動向
mi-eu06.gif (3879 バイト)
 資料:ZMP
  注:2000年は予測値

(チーズ)

 チーズについては、他の乳製品と比較して明るい見通しとなっている。順調な
域内消費と輸出の拡大に支えられて、収益面での優位性が確保される中で生産が
増加している。2000年の域内流通量は、前年実績を3%上回る730万トンと予想さ
れている。好調なEU経済を反映した需要の高まりや、ファストフードの進出によ
る消費の拡大が見られ、輸出についても前年を上回るものと見込まれている。

EUのチーズ需給の動向
mi-eu07.gif (3245 バイト)
 資料:ZMP
  注:2000年は予測値

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