NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○好調な生乳生産に沸くNZ乳業界


2000/01年度生乳生産は好調な出だし

 ニュージーランド・デイリーボード(NZDB)によると、2000/01年度第1四半
期(2000年6月〜8月)の生乳生産量は、80万4000キロリットルと前年同期比26.2
%の増となった。このように生産拡大の進む要因としては、海外からの乳製品需
要が引き続き強いことやさらに粉乳やチーズ工場建設などにより需要に対して的
確に生産が行える体制が整ったことが挙げられる。また、冷涼で適度な降雨に恵
まれたことにより乳牛の飼育条件が整ったことも第1四半期における生産量増大
の要因に挙げられる。これまでも増加基調にあった南島での生産は、前年同期比
58.1%と全国平均を上回る増加となっており、生乳生産の南島へ移行の動きの表
れとなっている。また、主生産地である北島でも、前年同期比23.3%と大幅な増
加を見せており、NZ全体での増産が大きな流れとなっている。第2四半期以降、
本格的な搾乳シーズンを迎えるが、今後の生乳生産の伸びが期待できる出だしと
なった。


メーカー各社とも生乳生産の大幅増加を公表

 このような中、乳業メーカー(酪農協)各社とも2000/01年度の生乳の大幅増
産を明らかにしている。NZ第2位の乳業メーカーであるキウイ社では、第1四半期
の1日当たり生乳集荷量が前年同期を3.8%上回る1万8500キロリットルとなってい
る。また、NZ最大手の乳業メーカーであるニュージーランド・デイリーグループ
(NZDG)でも、同1日当たり生乳集荷量が3万3500キロリットルと前年同期を1,0
00キロリットル以上も上回っている。生乳生産の減少要因となるものがなく、こ
のままの生産ペースが続けば、前年度の生乳生産量を超えることは確実となる。
 NZDBでは、2000/01年度の同社への生乳の供給量は、乳固形分換算で前年度を
3.0%以上上回る100万トンを超えるとみている。

◇図 第1四半期の生乳生産量の推移◇


生産増加の中で乳価の大幅な上昇を予測

 2000/01年度の生乳生産の増加が予測される中で、乳業界では、拡大している
供給量を上回る需要があるとみている。業界は、同年度の生産者への支払い乳価
(最終乳価)について、当初の見通しを修正し、乳固形分換算で4.25NZドル(約
196.2円)/キログラムとしている。当初、最終乳価については当初、NZナショ
ナルバンクは3.75NZドル(約173.1円)/キログラム、NZDBでは、4NZドル(約
184.7円)/キログラムと見込んでいたが、好調な市場動向の下で、その利益を生
産者に還元するために最終乳価の引き上げが見込まれるとして上方修正が行われ
た。また、NZDBによると、同社がメ−カーに支払う乳価(基本乳価)は今後5年
間、現在の水準以上になるとしている。

 NZでは、生乳の増産体制が整いつつあるが、大手乳業メーカーは海外の企業と
業務提携や資本参加など行い、海外市場への積極的な販売戦略を展開している。
今後は、こうした戦略に対応した生産の維持が課題となると思われる。

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