米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○供給過剰が続く脱脂粉乳


供給増に需要不振が追い討ち

 脱脂粉乳の供給過剰が続いている。脱脂粉乳生産量は、生乳生産の増加などを
反映して、99年以来増加傾向で推移し、2000年1〜8月では47万5千トンと前年同
期を10.3%上回った。これに対し、脱脂粉乳消費量(政府の国内無償供与部分を
除く商業(購買)消費量)は、業務用需要が不振となっていることなどから、今
年上半期で前年同期比10.6%減の15万8千トンと近年の減少傾向を強めている。
このため、脱脂粉乳の卸売価格(西部諸州のFOB価格)は、今年に入ってポンド
当たり100セント(約240円/kg:1ドル=109円)前後と、前年をわずかに下回る
水準で推移している(左図参照)。


買い上げ急増も民間在庫は高水準

 こうした中、商品金融公社(CCC)は、加工原料乳価格支持制度の下、買い上
げ価格(101セント/ポンド)水準で低迷する脱脂粉乳の買い上げを活発に行っ
たことから、99年度(99年10月〜2000年9月)の買い上げ数量は、前年度の3倍近
い約4億9千万ポンド(約22万2千トン)となった。ここから、CCCによる用途無
指定の一般販売数量を除き、乳製品輸出奨励計画(DEIP)に基づく補助金付き輸
出(2億ポンド:約9万トン)を加えた99年度の純隔離数量は、史上最高を記録し
た85年度に次ぐ高水準となる。これは、バターなど他の乳製品の市場隔離が小規
模なうえ、その大部分がDEIPに仕向けられたことと好対照を成している。このよ
うに、記録的な買い上げにもかかわらず、需給の緩和が一向に改善されない状況
を反映して、民間在庫量は、99年2月以来前年を上回って推移し、7月末現在では
前年同月比15.5%増の7万5千トンとなった。

◇図 脱脂粉乳の民間在庫および純隔離数量◇


国際価格高騰で商業輸出増加の可能性も

 脱脂粉乳の国際価格は、アジアの経済回復に伴う需要の増加などによる需給ひ
っ迫から、99年夏を境に上昇に転じた。特に、オセアニア地域からの供給が、生
産シーズンの終了により停滞を始めた今年5月以降は大幅に値を上げ、8月には2,
088ドル(約22万8千円)/トンと米国内価格に迫る水準となった。このため、U
SDAは、国際市場で米国産脱脂粉乳の価格競争力が増したとの判断から、DEIPに
よる輸出補助金の交付を7月第2週以降見合わせ、現在は国内価格水準での商業輸
出が行われている。しかし、その量は多くないと伝えられており、USDAでは、
現在の在庫が一掃されるほどの輸出は見込めないとしている。

◇図 脱脂粉乳の米国内価格と国際価格の推移◇


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