◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が四半期ごとに発表する飼養動向調査によると、2000年第 3四半期(9月1日現在)の豚の総飼養頭数は、1年ぶりに6千万頭台まで回復し 6,019万頭となった。総飼養頭数は、98年の肥育豚価格の大暴落を受けて、99年 第2四半期に減少に転じて以来減少傾向にあり、今回も前年を1.0%下回った。し かし、前回調査(6月1日現在)との比較では1.3%増と2期連続の増加となり、増 加基調が本格化した。州別では、イリノイ州を除く主要4州でいずれも前回より 増加し、ミネソタ州では前年をも上回る結果となった。 豚の飼養動向(2000年9月1日現在) 資料:NASS/USDA「Hogs and Pigs」 注1:肥育用、繁殖用ともに雌雄の計 2:前年比は、2000年9月1日現在/99年9月1日現在の比、 前年比は、2000年9月1日現在/2000年6月1日現在の比
種類別の飼養動向を見ると、繁殖豚(雄を含む)頭数が前年比0.6%減で前回 比0.5%増の627万頭、肥育豚頭数が前年比1.0%減で前回比1.4%増の5,392万頭と、 いずれのカテゴリーも前年より減少したものの、前回比では2期続きの増加とな った。第3四半期の繁殖豚頭数が第2四半期より増えたのは、過去10年間では97年 の1度にすぎない。こうした増加について、専門家の間では、ベーコンに代表さ れる豚肉需要の回復に伴い肥育豚価格が堅調となり、養豚経営体の採算が99年 12月以降黒字で推移していることから、繁殖豚を増頭する生産者が多かったため とみられている。また、繁殖基盤の縮小に歯止めがかかったことにより、前年割 れが続いていた子豚生産頭数は今年8月、大暴落以後初めて前年水準を上回った。 ◇図 子豚生産頭数◇
養豚経営体の収益性は、穀物価格の低迷で生産コストの上昇が見込まれないこ となどから、当面は良好に推移するとみられる。こうした明るい見通しを背景に、 生産者は、今後の分娩予定頭数について、今年9月から11月が前年同期比1%増、 12月から来年2月が3%増と増加の意向を示しており、98年の大暴落の教訓から慎 重ながらも増頭しつつあるとされる。このため、総飼養頭数は、早ければ年内に も前年水準を上回り、豚肉生産も2001年第2四半期には前年より増加するとみら れる。USDAでは、2000年の豚肉生産は856万トンと前年を2.1%下回るものの、 2001年には前年比1.0%増の864万トンになると見通している。
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