2000年上半期のブラジル鶏肉輸出量は増加


輸出量はパーツを中心として大幅に増加

 ブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)の発表によると、2000年上半期(1〜6月)
の鶏肉輸出量(骨付きベース。以下同じ)は、41万トン(前年同期比17.1%増)
と大幅に増加した。輸出形態別では、丸どりが20万7千トン(同7.5%増)、パー
ツが20万3千トン(同28.8%増)と特にパーツの増加が著しく、全輸出量に占め
るパーツのシェアは4.5ポイント上昇し49.5%となり、丸どりとほぼ等しい水準と
なった。


アジア、EU向けが増加、中東向けは減少

 輸出地域別に見ると、丸どりが主体である中東地域向けが、15万8千トン(同
1.2%減)となり、全輸出に占めるシェアは7.2ポイント低下し38.5%となった。
ABEFによると、鶏肉業界が価格低下の著しい同地域向け鶏肉輸出を手控えたこと
が要因であるとしている。一方、パーツが主体である日本を含むアジア地域向け
は、14万トン(同32.2%増)、EU向けは5万6千トン(同39.3%増)となり、全輸
出量に占めるシェアは、アジア地域が3.9ポイント上昇し34.1%、EUが2.2ポイン
ト上昇し13.8%となった。また、南米南部共同市場(メルコスル)向けは2万6千
トン(同17.3%増)となった。

 国別では、サウジアラビア向けが9万4千トン(同5.2%減)、クウェート向け
が1万9千トン(同11.6%減)と前年を下回ったのに対し、香港向けが6万1千トン
(同39.9%増)、日本向けが5万8千トン(同31.8%増)と著しく増加した。また、
数量は小さいものの中国向けが8千トンと約2.5倍に増加した。EUでは、ドイツ向
けが1万1千トン(同4.3%増)、スペイン向けが1万1千トン(同7.7%増)となっ
たが、オランダ向けが1万5千トン(同92.1%増)、イギリス向けが1万1千トン
(同89.4%増)と大幅に増加し、EU向け輸出増の原動力となった。


鶏肉輸出額、単価とも低下

 一方、今年上半期の鶏肉輸出額(FOBベース。以下同じ)は3億7千2百万ドル
(同11.7%減、約405億円:1ドル=109円)、平均輸出価格は907ドル(同24.6%
減、約9万9千円)/トンといずれも前年を下回った。

 ブラジルの鶏肉は、近年、増産が進んだことや小売価格の上昇による国内消費
の停滞などにより供給過剰となり、輸出仕向け量の増加につながったとみられて
いる。この結果、丸どりより相対的に単価の高いパーツ輸出が増加したものの平
均輸出価格が低下(今年6月の平均輸出価格は868ドル(約9万5千円)/トン)し
た。ただし、7月の平均輸出価格は、鶏肉生産量の調整や丸どり主体の中東地域
向け輸出を手控えたことなどを反映して価格低下に歯止めがかかり前月並みとな
っている。

 なお、ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、今年上半
期の鶏肉輸出量が鶏肉業界の期待した数量に達しなかった要因として、アルゼン
チンによるブラジル産鶏肉の輸入規制措置や新規鶏肉輸出業者による輸出価格の
引き下げなどを挙げている。

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