肉牛フィードロット、トップ20を発表(豪州)


上位ランク企業は98年実施調査と大きな変化なし

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、年間出荷頭数と収容能力を基
準に、99年フィードロットのトップ20を発表した。

 これによると、第1位は米国資本のオーストラリア・ミート・ホールディング
ス(AMH)社で、4施設からの出荷頭数が約16万6千頭に上り、93年以来の1位の
座を維持した。同2位は農業総合会社のエルダース社で、3施設からの出荷頭数が
13万8千頭であった。

 日系資本では、オーキィ・ホールディングス社が単一施設としては豪州最大規
模の許可頭数7万5千頭で総合ランキング3位、またロックデールミート社が許可
頭数5万3千頭で同4位となった。

 許可頭数で見るとトップ20で豪州フィードロット全体の57%を占めた。

 豪州のフィードロット産業は、近年拡大傾向にあり、フィードロット飼養頭数
は2000年6月には過去最高を記録している。また、稼働率も高くなっており、集
約化が進んでいることも特徴的と言える。


業界再編も落ち着きを見せる

 同種の調査が実施された93年と98年を比較すると、トップ20の中で8社の顔ぶ
れが変わっており、日本の牛肉輸入自由化に伴う業界の再編が、豪州のフィード
ロット業界に大きな変動をもたらしたことがうかがえる。しかし、今回の調査で
は、トップ20の中で順位の変動はあったものの、新規のランクインは見られなか
った。 

 なお、この調査では、施設の許可頭数や地域産業への貢献などが重視されラン
クに加味される。したがって、許可頭数に余裕のある別会社のフィードロットに
自社の牛を出荷まで一定期間預ける契約形態(預託牛)のものについては、預託
先の別会社の出荷頭数としてカウントされているため、肉牛所有頭数に基づく順
位は、これとは若干異なる可能性があることに留意する必要があろう。


国内市場への供給がやや拡大

 フィードロットの出荷内訳を見ると、輸出市場への依存度は急激ではないが着
実に低下している。98年の調査ではトップ20社の出荷重量に占める国内向けの割
合は31%だったが、99年には33%に増加し、国内市場への供給を中心に行う企業
も出現した。豪州フィードロット協会(ALFA)によると、ミート・スタンダー
ド・オーストラリア(MSA)の消費者への普及が、放牧により生産された牛肉志
向の根強い豪州でも、穀物肥育により生産された牛肉の浸透と消費を後押しする
結果になっているとしている。

 一方、食品の安全性に対する消費者の関心の高まりを背景に、輸出市場からの
安全性や品質に対する要求も年々厳しさを増している。今回トップ20にランクイ
ンしたフィードロットの中には、厳しい安全基準が要求されるEUの輸入条件を満
たすため、全国個体識別制度(NLIS)を採用し、個体の追跡可能性(トレーサビ
リティ)の確保を図ったり、オズ・ミートの全国フィードロット認定制度(NFA
S)に準拠し、食品としての安全性を確立する努力を、肥育牛の農場段階でも積
極的に行うなどしている企業も多い。また、地域の環境問題に対応し、国際的な
環境基準であるISO14001を取得する動きも見られている。

フィードロット上位10社
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 資料:MLA「FEEDBACK」2000年7月号
  注:出荷重量は推定枝肉重量

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