飼料用トウモロコシの輸入条件改訂案を公表(豪州)


米国産トウモロコシの輸入条件改訂要求に対し回答

 豪州検疫検査局(AQIS)は、このほど、米国産飼料用トウモロコシの輸入条件
の改訂に係る改訂案を公表した。これは、豪州フィードロット協会(ALFA)など
が、病原菌などによる汚染の危険性が低い米国の特定地域から飼料用のトウモロ
コシを輸入する場合には、通常適用される厳しい輸入防疫措置を緩和するよう要
求したのに対し、約3年間かけてその影響を審査したうえで提案されたものであ
るが、その条件として積出し港における万全の防疫措置を義務付けるなど、依然
として厳しい内容となっており、畜産業界に波紋を投げかけている。

豪州畜産業界は米国産飼料用穀物の安定的輸入を強く要求

 今回、AQISが公表したのは「米国産トウモロコシの輸入に係る危険分析」と
題する報告書で、これによると、米国産トウモロコシの輸入により、17種類の病
原菌、14種類の害虫、80種類の雑草類が豪州に侵入する危険性があるため、しか
るべき防疫措置を講じる必要があるとされている。

 豪州では例年、30万トン以上のトウモロコシが生産されており、ほぼ全量が飼
料用などで国内消費されている。飼料穀物の主体は、国産の大麦やソルガムであ
るが、これらの飼料穀物は、その生産量が天候に大きく左右されやすい。一方、
トウモロコシは、飼料としての利用価値が高いこともあって、安定的な輸入への
需要は極めて強いものがある。

 しかし、豪州では、検疫法(Quarantine Act)の規定により、トウモロコシを
輸入する場合、AQISが指定する輸入港周辺地域の認定加工施設で、加熱・加工処
理(蒸煮・粉砕など)の防疫措置を施さなければならないとされている。


依然として厳しい輸入条件に畜産業界は反発

 実際、95年には、前年までの干ばつによって飼料穀物の供給が激減し、取引価
格が高騰したため、米国から大量のトウモロコシが緊急輸入された。この際、畜
産業界は、AQIS認定加工施設の新規建設などによって多大なコスト負担を余儀
なくされたうえ、必要な飼料用トウモロコシを迅速に手当てできないという苦い
経験をした(緊急輸入が行われていない現在、これらの施設は使用されないまま
放置されている)。

 このため、ALFAを中心とする畜産業界は、97年10月、AQISに対し、比較的安
全な特定地域から飼料用トウモロコシを輸入する場合には、加熱・加工処理など
の輸入防疫措置を緩和するよう要求した。今回の報告書は、これに対するほぼ最
終的な回答に当たるものであるが、その条件として、トウモロコシの生産・輸出
地域の限定、積出し港における殺菌・殺虫などの万全な防疫措置の実施、品質の
条件、輸送・保管条件の設定など、細部にわたる条件を定めた厳しい内容となっ
ている。

 今回の報告書は、一般意見聴取などの手続きを経て、来年前半には正式な規則
として採用される予定であるが、ALFAを中心とする畜産業界側は強い不満を表
明していることから、この問題は今後も議論が続くものとみられている。

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