脱脂粉乳の2000年後期関税割当枠を公表(タイ)


2万3千トンの枠を割当て

 タイ農業協同組合省はこのほど、脱脂粉乳の2000年後期(9〜12月)における
関税割当枠を公表した。その内訳は、乳飲料製造業者に3,631トン、コンデンスミ
ルク製造業者に14,939トン、乳製品を原料とする食品製造業者に3,485トン、脱脂
粉乳輸入業者に925トンとなっており、合計で22,980トンが割り当てられている。

 タイの脱脂粉乳は、ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意に基づき、95年か
ら関税割当枠を設けて輸入が行われている。この割当ては95年の4万5,000トンか
ら、毎年約1,111トンずつ輸入枠を広げ、2004年には5万5,000トンまで拡大するこ
ととしている。また、割当枠内の関税は20%で、枠外の関税は95年の237.6%から、
2004年には216.0%まで引き下げることとなっている。


合意水準を上回った割当てに、業者は国産生乳の買い渋りも

 ただし、最近は乳製品の消費が増大するなど、合意水準のみでは国内需要を満
たしきれなくなっていることから、実際には、これを上回った割当てが行われて
いる。99年においても、合意水準である4万9,444トンに対し、実際には5万5,251
トンが割り当てられている。

 タイでは、主にUHT(日本のLLに相当)乳飲料を製造している製造業者などに、
1リットル当たり12.5バーツ(約32.8円:1バーツ=2.62円)での国産生乳の買い
取り義務が課せられているが、関税割当による脱脂粉乳の輸入増加に伴い、国産
生乳の買い渋りが見られるようになり、その対策が課題となっている。


国内酪農家に配慮し、政策的な配分

 今回の割当ては、こうした状況にかんがみ、国内の酪農家へ配慮した政策的な
配分となっている。

 乳飲料製造業者については、2000年前期(1〜8月)に、21の製造業者に対して
5,700トンが配分されたが、今回はタイ酪農業協同組合1者に対してのみ割り当て
られ、その量も前期より約2千トン少ない3,631トンとされた。

 これに対し、輸入脱脂粉乳を用いて、東南アジア域内に輸出する製品を製造し
ているコンデンスミルク製造業者には、前期の12,650トンに対して約2千トン多
い14,939トンとされた。

 また、乳製品を原料とする食品製造業者については、乳飲料製造業者から、ほ
とんど国産生乳を使用していないとの指摘がある。このため、中には既に1日当
たり8〜10トンの国産生乳を使用しているヨーグルト製造業者や、2001年までに
国産生乳の利用を可能とするため、工場の改修を進めている企業などがあるもの
の、国産生乳の使用義務を、これら乳製品を原料とする食品製造業者にも拡大し
て実施することとしている。これにより、今回の配分も前期とその追加配分合計
の6,611トンより約3千トン少ない3,485トンとなっている。

 しかし、今回の配分と前期分を合わせた今年の関税割当枠は48,866トンと、UR
合意水準の50,555トンまでに、まだ1,700トンの保留分があることから、これをめ
ぐる各業界の今後の動向が注目されている。

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