米、肉豚販売契約の情報提供に向けた規則案を公表


背景に販売契約による肉豚取引の急進展

 米農務省(USDA)は9月5日、肉豚の生産者とパッカーとの間の販売契約に関
する情報提供を行うため、パッカーにおける契約内容の報告義務などについて定
めた規則案を公表した。

 これは、「99年家畜強制報告法」に基づいて行われるパッカーや輸入業者に対
する取引価格等の情報報告義務制度と一体的に導入されることとなった措置であ
り、同法によって一部改正された「パッカー・ストックヤード法」の規定が根拠
となっている(情報報告義務制度についての詳細は、本誌2000年5月号「トピッ
クス」参照)。

 近年、販売契約による肉豚の取引が急速に進展する中で、生産者の間では、他
の当事者間で、どのような契約条件が設定されているかといった情報を知ること
ができないため、自らの契約内容が妥当なものかどうかを検証できないという不
満があった。


販売契約の実態を広く公表

 今回の措置は、こうした声にこたえるため、USDAが、パッカーからの報告を
基に、販売契約の実態を取りまとめ、その結果を、インターネットなどを通じて
広く公表するというものである。

 規則案によると、対象となるのは、過去5年間における年平均の処理頭数また
は処理能力が10万頭以上のパッカーであり、USDAにおいては、以下に掲げる2
種類の情報提供が行われることとなる(個々のパッカー名は明らかにされない)。

(1) 肉豚パッカー販売契約一覧

 パッカーは、生産者と取り交わしている契約条件の代表例について、その内容
が変更されるたびに報告する。具体的には、@契約のタイプ(取引価格の設定方
式が、市場価格や先物価格などに基づく一定の公式によるものか否かなど)、A
取引価格の算定方法(基準価格や、赤身率・枝肉重量に応じた上乗せ額の設定根
拠)などである。

 USDAは、こうした情報を地域単位で整理した上で公表し、パッカーからの
新たな報告があるたびに更新することとしている。

(2) 月報

 パッカーは毎月、契約のタイプごとに、肉豚の契約対象頭数を報告する。具体
的には、@現行またはこれから導入しようとする契約のタイプ、A6ヵ月後およ
び12ヵ月後の契約のタイプごとの推定出荷頭数などであり、USDAは、これを地
域単位で合計し、毎月公表することとしている。

 なお、本規則案は、30日間のコメント期間を経た後、最終的に決定されること
となる。


相次ぐパッカーへの規制強化

 USDAは、生産者とパッカー(豚肉以外の食肉も対象)との間の公正な取引を
確保するため、別途この秋に、生産・販売契約の内容自体をも規制する規則案を
公表する意向も明らかにしている。これにより、パッカーに対する新たな規則案
は、前述の取引価格などの情報報告義務制度に関する規則案と併せると、本年だ
けで3本も出揃うことになる。

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