◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド(NZ)統計局によると、99/2000年度(99年7月〜2000年 6月)の脱脂粉乳の輸出量は、前年度比1.2%増の17万2千トンとなった。これは、 国際需要が高かったことや同年度の脱脂粉乳生産が好調であったことなどが要因 とされる。 また、全粉乳の輸出量は、前年比5.7%増の36万1千トンと過去最高を記録した。 その要因としては、需要の高まりや収益性の高い全粉乳、チーズの生産・輸出に 重点を置いたNZ戦略の成果が表れたものと考えられる。 なお、脱脂粉乳は、国際市場における強い需要を反映して輸出価格が上昇して いる一方で、他の乳製品生産も拡大しているため、大幅な増産、輸出増は難しく なっているとの見方もある。
脱脂粉乳を輸出先別に見ると、前年度に引き続き強い需要を抱えるアジア向け が3分の2近くを占めている。また、中南米向けやサウジアラビアを中心とした中 東向けもそれぞれ全体の1割程度となっており、安定的な市場となっている。 全粉乳の輸出先としては、アジア向けが全体の約半分、それに次いで中南米向 けとなっている。前年度と比べると、中南米向けが輸出競争の激化により大きく 減少したことから、アジア向け中心の輸出傾向がさらに強くなっている。 このように粉乳にとってアジアは重要な市場であり、また、これらの強い需要 が国際価格を引き上げていると言える。東南アジアを中心とするアジア地域は、 今後さらなる経済成長が見込め、中国の世界貿易機関(WTO)加盟による巨大市 場の出現も考えられることから、粉乳に対する需要がますます拡大する可能性を 持っている。 ◇脱脂粉乳の輸出先別割合(99/2000年度)◇ ◇全粉乳の輸出先別割合(99/2000年度)◇
粉乳に対する需要が増大する中、また、ニュージーランド・デイリーグルー プ(NZDG)は今年8月、南島に総工費5千万NZドル(約25億円:1NZドル=50 円)もの粉乳生産工場の建設計画を発表した。この計画は、高品質粉乳の増産 計画の一環として行われるもので、南島を拠点とした粉乳生産によって利益増 を図ろうというものである。また、比較的地価の安い南島へは、酪農家の流入 が進んでいることから酪農生産が盛んになっており、ピーク時の生乳生産が工 場の処理能力を超えてしまうことも工場建設の要因となっている。 ニュージーランド・デイリーボード(NZDB)では、2000/01年度の生乳生 産量は前年度比5%増と予測しており、それに伴い粉乳の生産も増えることが 見込まれる。新工場建設などにより粉乳生産が一層拡大し、供給不足感のある 国際市場に輸出できることになれば、NZの乳製品にとって安定的な輸出先を 拡大することにつながることになる。
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