◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が先ごろ公表した2000年上半期の乳製品需要動向によると、 生乳の5割近くが仕向けられるチーズの消費量(政府の国内向け無償供与部分を 除く商業(購買)消費量)は、前年同期比6.2%増の190万トンと、近年では最高 の伸びとなった99年の伸び率を維持した。種類別では、モッツァレラなどイタリ ア系チーズが含まれる「その他のチーズ」が前年同期比8.2%増の109万トンと大 きな伸びを示した。こうしたチーズ消費の増加は、好景気による個人所得の伸び を背景に購買意欲が旺盛な中にあって、外食機会が増加するとともに、多様性、 汎用性、簡便性といったチーズの特性を生かした付加価値食品市場が拡大するな ど、需要が依然として堅調であることを示している。とりわけ、外食については、 家庭以外での食料支出割合が食費全体の45%に達していること、ピザなどのイタ リアンフードやタコスなどのメキシカンフードの人気が高まっていることなどか ら、チーズ需要拡大への貢献度は極めて大きいとみられる。 ◇図 乳製品消費量の増減率◇
これに対し、2000年上半期の脱脂粉乳消費量は、主に業務用の不振により 、 前年同期比10.6%減の15万8千トンと、近年の低下傾向を強める結果となった。 脱脂粉乳など無脂乳固形分の需要は、90年代前半、消費者の低脂肪し好の高まり とともに、飲用牛乳やアイスクリームなどへの原料用を中心に需要が急増した。 しかし、こうした「低脂肪」ブームの沈静化を反映して、無脂肪製品や低脂肪製 品の多くが生産中止となるなど無脂乳固形分の需要も収縮している。
99年における飲用牛乳の販売動向を見ると、前年比0.5%増の2,500万トンと 3年ぶりに増加した。飲用牛乳販売量は、ソフトドリンクなど他の飲料との競合 激化などにより、96年をピークに減少傾向で推移していた。しかし、99年は、乳 脂肪分3.25%以上の牛乳が前年比1.6%増の844万トンと3年ぶりに増加に転じた一 方、乳脂肪分0.5%未満の脱脂乳が前年比2.5%減の411万トンと、史上初めて前年 割れとなるなど、乳脂肪への回帰とも受け取れる傾向を示した。また、チョコレ ートミルクをはじめとするフレーバー牛乳は、業界の消費拡大対策が奏効して前 年比4.3%増の178万トンと増加傾向を維持した。 ◇図 飲用牛乳販売量の伸び率◇
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