◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前 年比4.1%増の114万1千トンと史上最高を記録した。価格競争力の面では、米ド ル高と肥育牛価格の上昇から不利であったものの、99年後半から2000年初めにか けて、ロシアへ大規模な援助輸出(4万6千トン)が実施されたこと、日本などの 主要市場で需要が堅調であったことなどが、輸出が増加した要因として挙げられ る。 輸出国別では、最大の市場である日本(シェア44%)は、景気が低迷する中、 牛丼や焼き肉の食材として米国産牛肉への需要が高まったことなどから、前年比 1.4%増の50万7千トンとなった。第2位のメキシコ(シェア21%)および第4位の カナダ(同10%)は、それぞれ前年比14.5%増の24万2千トンおよび10.1%増の 11万5千トンと、好景気による需要増から前年水準を上回った。第3位の韓国(シ ェア16%)は、経済の回復に加え、2001年1月の自由化に向けて輸入割当が拡大 されたことなどから、前年比29.5%増の18万1千トンと、主要輸出国の中で最大 の伸びを示した。 ◇図:牛肉の国別輸出量◇
一方、2000年の牛肉輸入量は、前年比5.5%増の137万5千トンと過去最高の水 準に達した。輸入の増加は、ハンバーグなどの加工用に仕向けられるカウミート の国内供給が、経産牛のと畜減に伴って減少したため、ひき材としての輸入牛肉 の需要が高まったことによる。為替レートによる価格競争力のあった豪州および ニュージーランドからの2000年の輸入は、豪州が前年比18.5%増の46万5千トン、 ニュージーランドが13.9%増の29万トンとなった。これに対し、アルゼンチンお よびウルグアイは、2000年8月および10月にそれぞれ口蹄疫問題が発生し、輸入 が一時ストップしたことから、アルゼンチンが前年比16.6%減の5万9千トン、ウ ルグアイが同5.6%減の2万8千トンと前年を下回った。 ◇図:国別牛肉輸入シェア◇ 2001年の見通しについて、USDAでは、輸出は、日本などアジア諸国における 景気の減速に伴い、前年比0.5%増の114万8千トンにとどまると見込んでいる。 また、業界では、EUの牛海綿状脳症(BSE)問題が世界的な牛肉離れを引き起こ し、輸出環境が悪化するのではと懸念している。一方、輸入は、堅調な需要が見 込まれることから、前年比1.6%増の139万7千トンとなるものと、USDAでは見込 んでいる。
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