◇絵でみる需給動向◇
タイ・ブロイラー加工輸出業者協会の発表によると、2000年のタイの鶏肉輸出 は、冷凍鶏肉と鶏肉調製品との合計数量が前年比21.6%増の33万2,794トンと大幅 に増加しており、金額でも16.1%増の272億7,400万バーツ(約763億7千万円:1バ ーツ=2.8円)となった。品目別輸出数量の変化を見ると、冷凍鶏肉が16.2%増の 24万5,994トンであったのに対し、鶏肉調製品は40.2%増の8万6,800トンとなって おり、調製品の輸出の伸びが際立っている。2000年については、数量、金額とも 増加しているものの、輸出単価は、冷凍鶏肉、鶏肉調製品ともに約7%下落して おり、国際市場において中国産やブラジル産との価格競争が激化していることが 推察される。
冷凍鶏肉について輸出相手国別の内訳を見ると、オランダ向けが前年比60.6% 増の2万1,531トンと大幅に増加しているのをはじめ、ドイツ向けが24.8%増、イ ギリス向けが27.3%増となっており、牛海綿状脳症(BSE)の影響による牛肉か らの代替需要が発生しているものとみられる。 アジア向けについても、韓国向けと香港向けが100%を超える増加を示したほ か、一昨年マレーシアで発生した豚を介するウイルス性脳炎の影響により、同国 およびインドネシアからの豚肉の輸入禁止を継続しているシンガポール向けにつ いても、28.6%増の1万125トンと大幅な伸びを示した。マレーシアは、ウイルス 性脳炎の発生により養豚産業が壊滅的な打撃を受け、99年のタイからの冷凍鶏肉 の輸入が前年の2倍強と大幅に増加したが、2000年についてもこの影響が残って おり、輸入量は15%増となった。 一方、日本向けについては、ブラジル産および中国産との価格競争により、4. 4%増の13万5,375トンと小幅な増加にとどまっている。総輸出量に占める国別シ ェアでは、日本向けが55.0%と前年から6ポイント低下した。日本向けの低下分 の約3分の2は、オランダなど欧州3ヵ国の増加分で相殺されている。
鶏肉調製品については、ほとんどの輸出相手国について大幅な伸びが見られた。 99年に前年比2.7%減となった日本向けについても、2000年については29.5%増と 大幅な伸びになっている。また、EU諸国の中で輸入数量の多いイギリス(57.2% 増)、オランダ(25.7%増)、ドイツ(24.8%増)の3ヵ国向けについても、冷凍 鶏肉と同様、大幅な伸びを示した。99年に前年比1.6倍と大幅な伸びを示したシン ガポール向けについても、2000年は46.3%増と、引き続き大幅な伸びが見られた。 また、これまで鶏肉調製品の輸出実績がほとんどなかった香港向けについても、 99年実績の200倍以上に相当する2,973トンが輸出された。同協会では、このよう な鶏肉調製品の大幅な伸びについて、「価格面では中国産、ブラジル産との厳し い競争にさらされているものの、技術面では他国にまねのできない水準にあるこ とを示したもの」であるとしている。
同協会では、2001年の輸出見込みについて、冷凍鶏肉が前年比0.4%減の24万 5千トン、鶏肉調製品が9.5%増の9万5千トン、合計で2.2%増の34万トンとして いる。同協会事務局長は、「タイの鶏肉および調製品の輸出相手先は、価格オ ファー次第で決まってくるのであり、価格以外の要因はない」としており、今 後、欧州の需給動向次第では、輸出数量・金額ともに大幅な増加が見込まれる。 タイ鶏肉の主要輸出相手国(2000年)
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