◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年のブロイラー輸出量(可食処理ベース) は、前年比13.3%増の251万6千トンとなった。中でも、ロシア向けは、7万4千ト ンの援助輸出が実施された99年を94.9%上回る61万4千トンに達した。このよう にロシア市場が急激に拡大したのは、原油などの輸出産品価格の高騰を反映して 経済が好調であったことなどによる。一方、米国産ブロイラーの大部分がロシア へ再輸出されていたラトビアなどのバルト海諸国向けは、2000年4月以降、ブロ イラーの陸送輸入がロシア当局によって禁止されたため、99年より大幅に減少し た。しかし、これら諸国を含めた2000年のロシア向け輸出量は、85万5千トンと 前年を8.1%上回っている。 ◇図:国別ブロイラー輸出量◇
ブロイラー輸出に占めるロシア市場のシェアは、バルト海諸国を含めると、最 盛期の97年に44%を記録するなど、94年以降常に3割を超えた。このため、国内 の生産加工業者は、ロシアの需要を見込んだ生産体制を採っていた。しかし、98 年8月のルーブル切り下げを契機とした経済の混乱を受けて、対ロ輸出が激減す ると、国内の卸売価格は大部分の部位で急落した。国内価格は99年5月以降、好 調な香港向け輸出などを反映して強含みとなったものの、大幅には上昇しなかっ た。これは、ロシアへはもも肉が輸出されるのに対し、香港の場合、需要の大部 分が、国内ではペットフード用にしか仕向けられないモミジであるため、国内価 格への影響がロシアの需要に比べて小さいことによる。これを裏付けるように、 2000年の国内価格は、商業ベースでの対ロ輸出の回復などに伴い強含みで推移し た。 ◇図:ブロイラーの輸出量と国内価格◇
USDAによると、2001年のブロイラー輸出は、ブラジルなどとの競合が高まる ことなどから、前年比2.7%増の258万4千トンと、2000年に比べ伸びが鈍化する とみられる。ただし、消費者の所得が、原油価格の高騰とインフレの抑制によ って経済危機以前の水準まで回復するとともに、為替も今後数年間はルーブル 高となるとみられるロシアについては、同国の輸出額の17.5%(94〜99年の平 均)を占める原油の価格が下落しない限り、2001年の輸出量は、前年を20%程 度上回るものとみられ、この影響で国内価格も強含みで推移すると見込まれる。
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