◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド(NZ)最大手の乳業メーカーであるNZ・デイリーグループ (NZDG)は、2000/01年度(2000年6月〜2001年5月)の生産者への支払乳価 (最終乳価)を1kg当たり乳固形換算で4.8NZドル(約250円:1NZドル=52円) になるとの予測を明らかにした。99/2000年度の最終乳価である3.75NZドル(約 195円)を28%上回る大幅な上昇で過去最高の予測となった。 この予測の背景には、NZ・デイリーボード(NZDB)からNZDGへの支払い乳価 (基本乳価)が前年比34.3%高の4.5NZドル(約234円)になるとの情報があり、 NZDGではそれを基に今回の最終乳価の大幅な上昇予測を発表した。 ◇図:基本乳価と最終乳価の推移◇
基本乳価、最終乳価ともに大幅に上昇が予測される要因としては、NZドル安の 為替相場を背景とした海外市場からの強い乳製品需要とそれを反映した国際乳製 品価格の高値が挙げられる。 NZDGでは、最終乳価の上昇は酪農家にとって歓迎すべきことであるとしなが らも、多くの酪農家で生産コストが上昇し、また一部地域では厳しい気象条件が 生乳生産に大きな影響を及ぼしていることから、すべての酪農家が価格上昇の恩 恵を享受している訳ではないとしている。 ◇図:NZドル為替相場の推移(対米、円)◇
今年1月から干ばつにより北島の一部地域で落ち込みを見せていた生乳生産で あるが、3月に入り回復を見せている。さらに、年度当初から前年を大きく上回 る生乳生産となっていた南島でも好調を維持しており、南島南岸にあるNZDGの 乳製品工場の今年2月までの生乳処理量は前年を16%上回っている。 このように好調な生乳生産が持続する中、NZ政府のヘレン・クラーク首相は、 NZドル安による競争力を背景に酪農製品を中心とした農産物輸出の後押しにより 国内経済動向は明るいとの見通しを述べている。また、NZ政府は、乳業界の再編 についても酪農家のみならず経済全体に好影響をもたらすことになるとして、乳 業界に対して支援の姿勢を見せている。 NZにとって酪農乳業は、国民経済に大きな影響を及ぼす重要な産業だけに生産 ・価格動向が注目される。
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