◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年の豚肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前 年比2.1%増の59万2千トンとなった。主な市場別に見ると、最大の輸出先である 日本(シェア45%)は、前年比8.6%増の26万7千トンとなった。これは、国内生 産の減少に加え、景気の低迷で安価な輸入豚肉に対する消費者の嗜好が増したこ とから、テーブル用のチルド製品を中心に需要が拡大したことによるもので、20 00年は、米国のチルド豚肉輸出の約6割が日本に仕向けられた。第2位のメキシコ (シェア23%)は、景気の回復に伴う好調な需要を反映して、前年比81.0%増の 13万7千トンと、4年連続で2ケタの伸びを記録した。メキシコでは、スーパーマ ーケットなどの新規開店が相次ぎ、米国産豚肉の販売チャネルが拡大していると される。第3位のカナダ(シェア11%)は前年比9.2%増の6万3千トンとなった。 カナダでは、増加する国内生産にと畜処理能力が追いつかないことなどから、米 国産豚肉が価格競争力を有するもも・かた系の部位を中心に需要が拡大した。こ れに対し、第4位のロシア(シェア2%)は、5万トンもの援助輸出が実施された 99年に比べ、2000年は商業輸出のみであったことから、前年比77.5%減の1万3千 トンにとどまった。 ◇図:豚肉の国別輸出量◇
一方、2000年の豚肉輸入量は、前年比16.9%増の43万9千トンとなった。好調 な経済を反映して国内需要が極めておう盛であった上、主要輸入相手国であるカ ナダおよびデンマークとの間で、為替がいずれも米ドル高で推移したことが、こ のような大幅増加の要因として挙げられる。
2001年の見通しについて、輸出は、主要市場で好景気が持続すること、米ドル 安が見込まれることなどから、0.7%程度増加すると見込まれる。特に、ロシアは、 国内生産が低迷する一方、原油価格の高騰などに伴う経済の回復から、輸入豚肉 に対する需要が高まる中にあって、EUが2000年夏以降ロシア向け豚肉への輸出補 助金をストップしていることなどから、米国からの商業輸出が増えるとみられる。 さらに、業界関係者の間では、EUにおける牛海綿状脳症(BSE)および口蹄疫問 題の影響で、EUの輸出が減少し、米国産豚肉の輸出が飛躍的に増加するのではと 期待されている。一方、輸入については、2.0%程度の増加が見込まれているが、 予想以上に景気が減速した場合、これを下回る可能性もあるとみられる。 ◇図:豚肉輸出入量の推移◇
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