豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○豪ドル安を背景として高騰する肉牛価格


輸出向け中心の経産牛と肥育牛を中心に価格が急騰

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2000年11月(速報値)の主に輸
出向け牛肉に仕向けられる経産牛の平均価格(クインズランド(QLD)州)は、
前月比23.2%高の1kg当たり277.5豪セント(約166.2円:1豪ドル=59.9円)と
大幅に上昇した。また、同月の肥育牛の平均価格(QLD州)も、前月比16.0%高
の286.3豪セント(約171.5円)と前月を大きく上回り、いずれも過去最高の高値
となった。一方、国内消費に仕向けられる若齢牛の平均価格(ニューサウスウェ
ールズ(NSW)州)は、前月比3.8%高の280.5豪セント(約168.0円)と高値とは
なったものの、急激な上昇とはならなかった。

◇図:肉牛価格の推移◇


外需主導で今後も高値維持を予測

 肉牛価格が総じて高値となった要因としては、10月後半から11月初めにかけて
豪ドル安が一段と進展したことから国際競争力が高まり海外市場からの需要が高
まったこと、また降雨の影響により供給量が減少したことが挙げられる。豪州国
内市場での肉牛価格の高騰にもかかわらず、需要が引き続き好調であったのは豪
ドル安を背景とした外需によるところが大きい。MLAでは、例年夏の終わりから
秋にかけて豪州北部で降雨シーズンが始まり、出荷頭数の減少により牛肉生産量
が減少することから、牛肉生産は11月をピークとして、今後の供給量はタイトに
推移すると予測している。このため、今後は高値による需要の減退が見込まれる
ものの、豪ドル安による強い需要が継続すれば、引き続き肉牛価格を高値に維持
することが可能であると予測できる。


輸出量も過去最高を記録

 豪州の牛肉輸出量は、海外市場からの需要増加を反映して大幅に増加している。
MLAによると、2000年10月の牛肉輸出量(速報値)は、9万2,800トンで前年同月
比30.7%増の過去最高となった。その内訳は、米国向けが、前年同月比36.4%増
の3万6,234トン、日本向けが同11.1%増の2万8,632トンとなっており、豪ドル安
の進展を反映する輸出量となっている。また、韓国向けが同102.7%増の8,234ト
ンと急激な伸びを見せたが、MLAは、1月からの累計では前年同期比9%減の前年
以下の水準であるとして、冷静な見方を示している。

◇図:牛肉輸出量と為替の推移◇

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