米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○肥育牛価格が高騰、2001年はさらに上昇か


11月は半年ぶりに70ドルを突破

 米農務省(USDA)によると、2000年11月の肥育牛価格(ネブラスカ州の相対
取引価格、去勢、1,100〜1,300ポンド)は、前年同月比2.0%高の71.8ドル/100
ポンド(約177円/kg:1ドル=112円)と、同年5月以来半年ぶりに70ドルを超え
る高値を付けた。肥育牛価格は、旺盛な需要を背景に99年2月以降一貫して前年
を上回って推移したが、2000年4月以降は、供給の増加に伴い下落が続いていた。
しかし、8月を底に上昇に転じ、11月には4カ月ぶりに前年水準を上回ることとな
った。(左図参照)。


旺盛な需要が価格をけん引

 肥育牛価格の高騰は、牛肉の供給が高水準となる中、内外からの牛肉需要が一
段と旺盛になったことによる。牛肉生産量は、と畜頭数と枝肉重量がともに増加
したため、2000年1〜11月で前年同期比2.1%増の1,124万トンとなった。これに対
し、需要面を見ると、まず、国内市場では、ホテル・レストラン部門からのチョ
イス級以上の高級牛肉が根強い需要を保つ一方、小売部門からは、感謝祭を前に
七面鳥肉との競合が例年高まる11月に入っても、好調な牛肉の販売が伝えられる
など、好景気を反映して需要が活発化した。また、輸出市場では、韓国やメキシ
コをはじめ主要市場の需要が軒並み好調となったことから、2000年1〜9月の牛肉
輸出量は、米ドル高にもかかわらず、前年同期を9.1%上回る86万9千トンに達し
た。このように好調な需要を背景に、子牛生産農家は、子牛の販売交渉を有利に
行ったとみられる。

◇図:国別牛肉輸出量◇


2001年は75ドル前後となる見込み

 一方、フィードロットへの肥育素牛の導入状況を見ると、南部などの主産地で、
夏の干ばつから粗飼料供給がタイトとなり導入が早まったことから、2000年9月
以降は前年水準を大幅に下回っている。また、フィードロットに導入される以前
の子牛の飼養頭数は2000年10月1日現在、繁殖基盤の縮小を反映して、ピーク時
の95年と比べ15%程度減少している。このため、と畜頭数は、2001年春ごろから
前年を下回って推移すると見込まれる。さらに、枝肉重量についても、体重の軽
い牛の導入割合が増えているため、今後は増加の程度が緩やかになるとみられる。
こうしたことから、USDAでは、2001年の肥育牛価格は、牛肉供給の減少を反映
して、年間を通じて強含みで推移するとし、年平均では前年比5%程度の値上が
りが見込まれる2000年をさらに8.9%上回る75ドル/100ポンド(約185円/kg)
前後まで上昇すると見通している。

◇図:肥育牛価格と肥育素牛頭数の推移◇

元のページに戻る