米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○高付加価値化が進むパッカーの生産パターン


処理羽数の9割は骨付き・骨なし肉

 米農務省(USDA)は先ごろ、鶏肉パッカーにおけるブロイラーの処理・加工
パターンの変化について、センサスをもとに分析したレポートを公表した。これ
によると、63年時点では、パッカーにおいてブロイラーの84.8%が丸どりとして
処理され、丸どりを8〜9部位に分割した骨付き肉や、骨付き肉からさらに骨を抜
いた骨なし肉に処理されるものは15.2%にすぎなかった。しかし、最新のセンサ
スの対象となった97年においては、丸どりが13.1%、骨付き・骨なし肉が86.9%
とシェアは逆転した。

◇図:鶏肉パッカーにおけるブロイラーの処理割合◇


市場ニーズに合わせ多面的な販売戦略を展開

 処理形態が大きく変化した要因としては、パッカーの販売戦略が市場の需要に
応じて多面的に展開されたことが挙げられる。60年代後半以降、部位ごとに分割
された製品に対する消費者の嗜好が高まったことから、トレイ上に並べられた製
品をラップで包装するコンシューマーパックの生産ラインが拡充された。70年代
に入ると、調理時間が節約できる簡便な製品への需要の拡大に応じて、脱骨技術
が導入されるとともに、調理済み、半調理済み製品や加工品が相次いで開発され
た。また、近年急速に成長するファストフードや総菜などの外食、中食市場に対
しても、ナゲットなどの新製品が次々に投入された。さらに、国内ではむね肉嗜
好が強い一方、海外ではもも肉やモミジ、内臓などが好まれることから、国内で
需要の少ないこれらの部位が日本やロシア、香港などへ積極的に輸出された。こ
のように、市場のニーズに合わせたきめ細かな販売戦略の展開に伴って、骨付き
肉や骨なし肉への処理が増加していった。


多様化する製品構成

 このような販売戦略を反映して、パッカーの製品構成は、この30年で様変わり
した。63年時点でパッカーが生産する製品は、業務用にバルクパックされた骨付
き・骨なし肉および丸どりが大部分であった。しかし、97年現在、これらの業務
用製品は46.0%までシェアを落とし、コンシューマーパック(24.3%)および加
工品(11.4%)といった付加価値の高い製品のシェアが全体の3割以上を占めて
いる。このうち、加工品は、ナゲット、パテ、マリネ、フランクフルトソーセー
ジなどが主な製品で、一般小売店のほか、スーパーの総菜売り場やファストフー
ド部門向けに供給されている。また、輸出向けシェアも飛躍的に拡大し、97年に
は18.3%を占めるまでになった。

◇図:鶏肉パッカーの製品構成◇

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