米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○規模拡大が進む乳業メーカー


大手農協系メーカーが3割近いシェアを確保

 米農務省(USDA)は先ごろ、この20数年間における乳業界の動きに関する報
告を公表した。これによると、乳業界では、吸収・合併などによる規模拡大が進
展し、大手メーカーによる牛乳乳製品の販売シェアは、75年の56.2%から98年に
は69.1%へと大幅に拡大した。このうち、大手農協系メーカーは近年、かつてな
い吸収・合併を繰り返したことから、75年の16.9%から98年には26.9%と3割近い
シェアを占めるまでになった。99年現在、98年に4酪農協の合併により誕生した
Dairy Farmers of Americaを筆頭に、80年近い歴史を持つLand O´Lakes、99年に
カリフォルニア州内の3農協が合併して設立されたCalifornia Dairies, Inc.が、
3大農協系メーカーを形成している。農協系メーカーは、酪農家から受け入れた生
乳を他の乳業メーカーへ売り渡すほか、自社生産するバターなどのバルク製品を
主に販売しており、97年におけるシェアは生乳が83%、バターが61%、ナチュラ
ルチーズが40%、脱脂粉乳が76%となっている。

◇図:乳業メーカーの牛乳乳製品販売シェア◇

◇図:農協系メーカーの牛乳乳製品販売シェア◇


商系では大手専門メーカーの成長が顕著

 大手商系メーカーも、中小メーカーの買収などを通じて、75年の39.3%から98
年には42.2%へと販売シェアを伸ばした。中でも、総販売額に占める牛乳乳製品
の販売割合が50%を超える専門メーカーの場合、75年の1.6%から98年の18.8%
へとシェアを大きく伸ばした。商系メーカーは、飲用牛乳のほか、チーズ、アイ
スクリームなどの付加価値製品を生産するケースが多く、最近は取扱品目を特化
するとともに、ファストフードや総菜などの特定市場向けに生産を専門化する傾
向を強めている。USDAの報告の対象となった98年現在、専門メーカーに分類され
る大手商系メーカーは、Dean Foods社、Suiza Foods社など6社であったが、この
中の1社であるSouthern Food Group社は2000年1月、最大の飲用牛乳メーカーの
Suiza Foods社に買収されている。


アイスクリームなどで目立つ外資の参入

 一方、98年における外国資本の参入状況を見ると、大手商系メーカーの販売
シェア42.2%のうち外資系メーカーが11.3%で残り30.9%が国内資本となってお
り、外資のシェアが、75年の2.5%と比べて大幅に増加した。これは75年以降、
乳業の国際化を背景に、外資の参入が活発化したことによる。98年現在、
Unilever社(オランダ/英国)、Nestle, S.A.社(スイス)、Danone社(フラン
ス)などの資本がアイスクリーム、チーズ、ヨーグルトなどの付加価値製品を中
心とした市場に参入しており、国境を越えた企業活動は、今後もさらに進展する
とみられる。

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