EUの豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○減少に転じる2000年6月期の域内豚飼養頭数



総飼養頭数は前年同月比0.7%減の1億2,256万頭

 EU統計局は、2000年6月時点のEU加盟国における豚の飼養頭数調査結果を発表
した。これによると、域内の飼養頭数は、前回99年12月時点の調査に引き続き、
ドイツなど主要生産国の繁殖用雌豚頭数減少がとどまらなかったことが影響し、
前年同月比0.7%減の1億2,561万頭となった。域内の豚飼養頭数は、96年以来、
増加傾向で推移してきたが、98年末〜99年初めにかけての記録的な豚肉価格の低
迷により、域内養豚農家飼養規模を縮小させたことや、各国で高まりつつある畜
産を取り巻く環境問題などを主な要因として、99年後半から減少に転じている。


スペインなど3ヵ国を除き域内各国はいずれも減少

 国別の飼養動向を見ると、スペイン、デンマーク、イタリアの3カ国については、
他の加盟国がいずれも減少に転じる中で順調な増加を示している。特にスペイン
については、繁殖用雌豚の飼養頭数は減少となったが、国内での豚肉需要の高ま
りなどを背景に生体豚輸入が増加していることから、前年同期を7.3%も上回る飼
養頭数となった。なお、スペインでは、環境問題などにより養豚経営が縮小しつ
つある域内各国からの新規参入も伝えられており、将来的には域内最大の飼養頭
数を誇るドイツを上回ることは確実との見方もある。

 一方、10%を超える最大の減少となったイギリスでは、ポンド高によりデンマ
ークなど域内各国からの豚肉製品輸入が増加しており、国内の養豚産業は経営縮
小を余儀なくされている状況にある。

EU主要国の豚飼養頭数(2000年6月)
po-eu05.gif (7700 バイト)
 資料:EU統計局
 注1:数値は暫定値
  2:ベルギーにはルクセンブルグを含む


生産の減少やBSE問題の再燃により価格は堅調

 域内全体の飼養頭数が減少となる中、フランスを端緒とする牛海綿状脳症(B
SE)問題再燃の影響が域内各国に広まるにつれて、牛肉の代替製品としての豚肉
需要が徐々に高まりつつある。通常、各国での生産が増加するこの時期、豚肉価
格は低下に向かうが、11月のEU豚枝肉平均販売価格は、100kg当たり153.2ユーロ
(約1万4,860円:1ユーロ=97円)と、前年同期に比べ35.8%上昇し、前月比で見
ても4.5%上昇となった。

 飼養頭数の減少により、域内でのこの時期の豚肉生産の伸びが抑えられている
こと、また、ユーロ安により豚肉の輸出も好調な伸びを見せている状況の中で、
再燃しているBSE問題の解決が長引くとすれば、豚肉価格は、例年を上回る水準
で推移するものとみられている。

◇図:主要豚肉生産国における枝肉価格の推移◇

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