◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年第1〜3四半期(1〜9月)における豚肉輸 出量(枝肉重量ベース)は、前年同期を9.5%上回る42万7千トンとなった。これ は、主要輸出先である日本、メキシコおよびカナダ向けがいずれも増加したこと による。このうち、米国産豚肉輸出全体の約5割を占める日本向けは、日本国内 の生産減に伴い輸入豚肉への需要が増加する中、口蹄疫発生により韓国から供給 されなくなったことなどから、前年同期比8.3%増の20万トンとなった。また、 シェア第2位のメキシコ向けは、経済回復に伴う個人消費の伸びや人口増加によ る需要の拡大を反映して、前年同期を85.2%上回る9万3千トンと主要市場の中で 最大の伸びを示した。主要市場以外では、香港向けが、好況に後押しされて前年 同期比2.2%増の1万7千トンとなったものの、韓国向けは、口蹄疫発生に伴い輸出 がストップし、国内市場での出回り量が増加したことなどから、1万4千トンと前 年同期より23.1%減少した。 ◇図:豚肉の国別輸出量◇
一方、ロシア向けについては、99年2月に豚肉5万トンを無償援助することで両 国政府が合意に達し、同年9月以降、「進歩のための食糧プログラム(市場志向 化政策への転換を図っている発展途上国に食料の贈与または販売を行うもの)」 の下で49,200トンが船積みされた。援助輸出は2000年に入って実施されていない ものの、商業ベースでの輸出が増加していることから、1〜9月の輸出量は前年同 期比33.8%増の4,800トンとなった。商業輸出が増加した要因としては、ロシア国 内の豚肉供給が依然低迷する中で、原油や天然ガス価格の高騰などによる景気の 回復から、消費者の購買意欲が高まっていることが挙げられる。また、好調な経 済を反映して通貨ルーブルが強くなった上、EUが今夏、ロシア向け豚肉に対する 輸出補助金を撤廃したことなどにより、米国産豚肉の競争力が高まったことなど も輸出に追い風となった。
USDAによると、2000年の豚肉輸出は57万1千トンと、3年連続で50万トンを超 えるとみられるものの、ロシアへの大規模な援助輸出が実施された99年と比べる と、1.6%減と10年ぶりに前年水準を下回ると見込まれる。しかし、2001年につ いては、2000年と同様好調に推移し、前年を3.7%上回る59万2千トンまで回復す ると見込まれる。 ◇図:豚肉輸出量の推移◇
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