EU、食品安全教育キャンペーンを実施


ターゲット層を明確にした教育活動

 EU委員会はこのほど、2000〜01年度に実施する食品安全教育キャンペーンの概
要を発表した。このキャンペーンは、98〜99年度に行われた食品安全情報キャン
ペーンの第2段階として位置付けられている。今回は、より大きな効果を上げる
ため、加盟各国において、食品安全に関する単なる一般的な情報提供に留まらず、
ターゲット層を明確にした教育活動を行う予定である。

 EUでは、消費者の間で食品に対する安全への関心が高まっていることを背景に、
98〜99年度に食品表示、食品の(流通起源の)追跡可能性、遺伝子組み換え(G
M)食品、食品衛生などについての情報提供、知識普及を目的に、食品安全情報
キャンペーンを実施した。その後も、食品安全への関心はさらに高まっているた
め、EU委員会では、2000〜01年度に食品安全教育キャンペーンを実施することと
した。


5つの目的に沿って各国ごとに具体化

 キャンペーンの目的は以下の通りであるが、ターゲット層を明確にするため、
目的に沿って各国ごとに取り組みを行う予定としている。

 1.食品安全の一般原則と実際についてのターゲット層への教育を行う。

 具体的には、フランスでは、高校生(15〜18歳)とその教師および家族をター
ゲットとして、図をふんだんに取り入れた参考書の提供などを予定している。同
キャンペーンでは、生産者や流通者のみならず消費者も食品安全の関係者である
ことを認識させるため、「食品安全はみんなの問題」や「食品安全はみんなの権
利かつ責任」といった標語を用いることとしている。また、食品が安全でおいし
いものであることを認識させるために、「安全にたくさん食べよう」も用いる。
なお、ドイツでは10代(14〜20歳)、教師などの教育者およびマスコミをターゲ
ットとする一方、イギリスでは小学校(5〜11歳)の教師を目指している教職課
程の学生をターゲットとするなど各国ごとにさまざまな層をターゲットに予定し
ている。

 2.インターネット、CD−ROMを活用する。

 3.食品安全に関するアドバイザーとしての消費者組織の役割を増進する。

 4.消費者組織、国家機関および専門機関による相互の意見交換を行う。

 5.マスコミに対し、食品安全に関する関心を増幅させる。


キャンペーンの実施は主に2001年前半を予定

 今回の計画に対し、EUは410万ユーロ(約3億9,770万円:1ユーロ=97円)の予
算を確保しており、前回実施された98〜99年度よりもわずかな増加となっている。

各国に対し割り当てられた予算配分上限額は次の通り。

 オーストリア:145,000ユーロ
 ベルギー:  165,000ユーロ
 デンマーク: 105,000ユーロ
 フィンランド:105,000ユーロ
 フランス:  560,000ユーロ
 ギリシャ:  165,000ユーロ
 ドイツ:   640,000ユーロ
 アイルランド:105,000ユーロ
 イタリア:  560,000ユーロ
 ルクセンブルグ:45,000ユーロ
 ポルトガル: 165,000ユーロ
 スペイン:  420,000ユーロ
 スウェーデン:155,000ユーロ
 オランダ:  205,000ユーロ
 イギリス:  560,000ユーロ

 なお、これとは別に、全体の調整費用として、300,000ユーロ(約29百万円)
を計上している。

 各国は、今回の計画を2001年6月末までに完了させることとなっており、その
後の延長実施については、予算やキャンペーンの評価を踏まえてEU委員会で今
後検討していく予定である。

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