ブラジルの鶏肉生産、急速な増産傾向に変化


2000年第3四半期は前年同期比3.3%減

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2000年第3四半期
(7〜9月)の鶏肉生産量は138万7千トン(骨付きベース。以下同じ)と、ひなふ
化羽数の減少などを背景として前年同期を3.3%下回った。近年のブラジル鶏肉
生産量は、一貫して増産傾向で推移していたが、2000年7月にはおよそ4年ぶりに
前年同月を下回った。

◇図:ブラジル鶏肉生産量の推移◇


増産傾向の変化は供給過剰に伴う価格下落などが要因

 ブラジルの鶏肉生産は、好調な輸出などを背景として近年拡大を続けている。
また、99年1月にはレアル通貨切り下げにより輸出競争力の強まったため、生産
者の増産意欲が一層顕著となった。この結果、99年の鶏肉生産量は552万6千トン
(前年比13.9%増)と前年を大幅に上回り過去最高を記録した。しかしながら、
今年になると供給過剰による鶏肉価格の下落、飼料価格高騰に伴う生産者の収益
性を低下などにより、鶏肉生産を取り巻く状況に変化が見られるようになった。
このため、2000年1〜9月の鶏肉生産は前年同期比3.6%増(1〜3月:9.91%増、4
〜6月:4.73%増、7〜9月:3.30%減)の426万2千万トンと急速に増加率が鈍化し
ている。

 このような傾向は、ひなふ化羽数にも表れている。2000年1〜9月のひなふ化羽
数は前年同期比2.5%増(1〜3月:9.61%増、4〜6月:1.32%減、7〜9月:0.17%
減)の24億2,220万羽と増加率が低下し、5〜8月では4ヵ月連続で前年実績を下回
った。ひなふ化羽数の減少は、市場価格変動の影響を受けやすいとされる、イン
テグレーション傘下にない独立系養鶏農家において顕著であるとみられている。
ただし、9月のふ化羽数は春季における記録的な暑さから種鶏の生産性が低下し
たものの、前年同月を2.7%上回った。また10月のひなふ化羽数は、暑さがひな
生産に少なからず影響を及ぼしたものの前年同月を上回っている。


供給過剰を反映して鶏肉の平均輸出単価が大幅に下落

 外国貿易局(SECEX)によると、2000年1〜9月の鶏肉輸出量は前年同期比21.4
%増の67万6千トンと引き続き増加したものの、輸出額(FOBベース。以下同じ)
は同9.8%減の5億9千7百万ドル(約668億6千万円:1ドル=約112円)となってお
り、鶏肉の平均輸出単価の下落が顕著となっている。形態別に見ると、丸どりで
輸出量が前年同期比17.6%減の34万9千トン、輸出額が15.8%減の2億6千2百万ド
ル(約293億4千万円)、1トン当たりの平均輸出価格が28.4%安の751ドル(約8
万4千円)となった。また、パーツでは輸出量が25.8%増の32万6千トン、輸出額
が4.4%減の3億3千5百万ドル(約375億2千万円)、1トン当たりの平均輸出価格が
24.0%安の1,026ドル(約11万5千円)となった。


2001年の生産量、輸出量は鈍化するものの引き続き増加と予測

 APINCOは今後の国内鶏肉需給について、2000年第3四半期の鶏肉生産量が前
年同期を下回る一方、鶏肉輸出量が26万6千トン(前年同期比28.9%増)と大幅
に増加したことから、今年末の国内供給量は、昨年末の供給量を下回る可能性が
あるとみている。また、2001年の鶏肉需給予測によると、ひなふ化羽数が前年比
3%増の33億羽、生産量が4%増の594万トン、輸出量が10%増の97万トン、国内
供給量が3%増の497万トン、年間1人当たり消費量が2%増の30.2kgとしている。

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