NSW州北部の洪水被害に特別支援措置(豪州)


豪州連邦政府、1,000万豪ドルの特別支援措置を決定

 豪州連邦政府は11月21日、豪雨による大規模な洪水の被害に見舞われたニュ
ーサウスウェールズ(NSW)州北部の農業生産者に対し、特別支援措置の第1弾
として、1,000万豪ドル(約6億円:1豪ドル=59.9円)の投入を決定した。この
洪水により、NSW州北部やクィンズランド(QLD)州南部において、収穫直前の
穀物や家畜が多大な被害を受けたことが報告された。

 第1弾の支援措置の内容は、洪水の被害を受けた農地、牧柵、機械施設等の復
旧のための低金利融資や安全地域への家畜移動コストの半額助成となっており、
申請受付期間は、今後6ヵ月間とされているが、対策を発表した当日だけでも74
件の申請があったと報じられた。


被害は穀物農家を中心に拡大

 NSW州政府によると、11月第2週目から降り出した雨は、同州北部を中心にそ
の勢いを増し、2週間にわたり降り続き、降雨量は200ミリを超えたとされている。
当該地域の年間平均降雨量は600ミリ程度であるため、わずか2週間でその3分の
1が降り注いだことになる。

 また、今回の洪水によって冠水した地域は、約21万平方キロメートル(日本の
国土面積の約3分の2)に達したとされ、被害規模の大きさがうかがえる。

 農作物の被害は、流失、水没した小麦への被害が最も深刻とされ、収穫された
ものについても品質低下により約300万トンが価格の安い飼料用に転用せざるを
得ないと言われている。また、NSW州中部では、道路の水没、寸断のため生体家
畜の輸送などへの影響が出ており、上場頭数の減少により品薄感から生体価格の
上昇も懸念された。連邦政府は、当初、これらの被害額を6億豪ドル(約360億円)
と見積もっていた。


追加支援措置は2億1,650万豪ドルと大型

 また、連邦政府は12月5日にも、アンダーソン副首相とトラス農相の共同声明
として、NSW州中北部やQLD州南部の綿、穀物、園芸農家や中小企業を中心に
2億1,650万豪ドル(約130億円)の追加補償を行うことを明らかにした。 

 これは、今後2年の間に、インフラの補修などのための自然災害支援計画(N
DRA)に7,100万豪ドル(約43億円)、農場経営の所得支援に4,600万豪ドル(約
28億円)、穀物植え替えのための助成金に2,400万豪ドル(約14億円)、既存の
借入金の金利助成に7,000万豪ドル(約42億円)や洪水の被害を受けた中小企業
救援の経営修復のための助成に550万豪ドル(約3億円)などに充てられる。

 アンダーソン副首相は、特別支援措置により地域経済の経済機能が確実に維持
できたことは重要であるとして政府の対応を評価したが、その成果は、今後明ら
かになるところである。

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