◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)の共同 調査によると、2001年3月末時点でのフィードロットの飼養頭数は、前年同期と 比べて14.1%増の65万2,998頭と2000年6月末の調査に次ぐ記録となった。これは、 前回調査(2000年12月末)と比べても7.3%増となっている。州別に前回調査と比 べると、主要な穀物肥育牛生産州であるクインズランド(QLD)州が0.3%増の27 万7,888頭と微増に留まったのに対し、ニューサウスウェールズ(NSW)州は14.0 %増の26万1,121頭とQLD州に近い水準まで増加した。 また、稼働率は82%とこれまでの中で最も高くなっており、ALFAでは、その要 因としては中小規模のフィードロットの閉鎖により収容能力が減少したことを挙 げている。 ◇図:フィードロット飼養動向の推移◇
ALFAは、飼養頭数が大幅に増加した背景には国内向けの穀物肥育牛の増加があ るとしている。国内への仕向け割合は、96年には30%を下回っていたが今回調査 では42.1%と過去最高を記録している。 これに加えて、豪ドル安の為替相場により仕向け先として過半を占める輸出向 けが好調であることが飼養頭数増加の要因として挙げられる。これまで穀物肥育 牛は輸出向けが主力で、96年には日本への輸出割合が約7割を占めていた。輸出 量としては増加しているものの、今回調査では日本向けが53.9%とその割合は減 少している。また、2001年に入り穀物肥育牛肉の米国向け輸出の増加も顕著であ る。その一方で、前回調査時には市場開放を見込んで大きな伸びを示した韓国向 けについては、今回調査では前回調査比で41%減となっており、市場開放が穀物 肥育牛の輸出増加にはつながっていない形になっている。 ◇図:穀物肥育牛仕向け割合の推移◇
ALFAでは、肥育素牛価格については前年同期比23%高となっているものの、 素牛の高値はこれまでのところフィードロット業界に影響を及ぼしていないとみ ている。これは、対米ドルに対して豪ドルが安いことから、高い輸出価格が生産 コストの上昇を相殺していることが要因としている。 一部の報道によれば、素牛価格の高騰がフィードロット業者の利益を圧迫して いるとの見方もあることから、今後の為替や素牛価格の動向によってはフィード ロット業界に影響を及ぼす可能性もあるといえるだろう。
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