タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○輸出は好調なるも供給過剰に危機感か


輸入種鶏ひな羽数、ブロイラー用ひな価格が大幅に下落

 タイ農業協同組合省が発表した2001年1月の原種鶏ひなの輸入羽数は、前年同
月比68%減、対前月比でも63%減の約6万7千羽となった。このように、原種鶏
ひなの輸入羽数が減少している一方で、ブロイラー用ひなの価格は1羽当たり3.
55バーツ(約10円:1バーツ=2.8円)と、前月の7.90バーツ(約22円)を約55%
下回っている。ブロイラー用ひなのふ化羽数は、2000年9月以降、毎月約8千万
羽でほぼ落ち着いて推移している。このような状況の中、ひな価格が大幅に下落
したのは、ブロイラー生産者サイドが、大幅な増加基調にあるEU向けの鶏肉輸出
を一過性のものとして捉えている可能性を示唆するものとなっている。また、よ
うやく回復基調にあった同国経済が再度、97年後半から始まった通貨危機と同様
の危機的状況を迎えるとの観測もあり、大幅な生産拡大にブレーキをかけている
という見方もある。

◇図:原種鶏ひな輸入羽数およびブロイラー用ひなふ化羽数の推移◇


ブロイラー生産費が低下

 同省が発表した2001年1月の生産費は、前年同月および前月をそれぞれ約6%
下回る、1羽当たり42.81バーツ(約120円)となった。生産費の内訳では、ひな
の購入費が大幅に下落した影響が大きく、飼料費を除く諸経費はほぼ横ばいであ
る。飼料費は、前年同月および前月をそれぞれ約10%上回っている。ブロイラー
の生産者販売価格は、前年同月および前月をそれぞれ20%以上も上回る1kg当た
り30.28バーツ(約85円)となっている。卸売価格も同様に急上昇しているが、
小売価格は前月比2%の上昇にとどまっており、小売マージンが大幅に圧縮され
ている。


日本市場向けの収益性向上を図る「有機」戦略

 タイ国ブロイラーの大手生産者であるサハ農場では、同社の主要市場である日
本市場をターゲットにして、「有機」鶏肉を中心とした新製品を投入し、中国産
およびブラジル産との差別化を図っていきたいとしている。現在、同社では、
「有機」鶏を年間300万羽生産しており、従来製品よりも3割高い価格での販売
が可能となっている。同社は、同国の冷凍鶏肉および鶏肉調製品輸出量の約22%
を占めており、2000年の輸出額は前年を34%上回る1億7,500万ドル(約219億円
:1ドル=125円)に達している。

 同社では、輸出単価が伸び悩んでいる日本向け製品の単価上昇を狙って、今回
の戦略を打ち出してきたものとみられるが、日本においては、「有機」畜産物の
認証制度が確立されておらず、同社のブロイラーが、その思惑どおりの収益性を
発揮できるのかどうかについては、不透明な要素が大きいものとみられる。

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