世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2000/01年度の世界の飼料穀物生産は低価格などを反映して減少



飼料穀物生産は、トウモロコシを中心に前年度比約%減

 米国農務省(USDA)は4月25日、2000/01年度(2000年9月〜2001年8月)
の飼料作物の需給予測を発表した。これによると、世界の飼料穀物生産は、トウ
モロコシを中心として前年度比約2%減少し、89/90年度以来の低水準になると
見込まれている。主な要因として、トウモロコシ価格が総体的に低水準であるこ
とから作付面積が減少したことや、いくつかの主生産地において干ばつの影響で
収穫面積および単位当たり収穫量が減少したことが挙げられる。一方、消費量は
東欧で大きく落ち込むものの、他の地域で増加したことから前年度並みであると
している。主な生産地域の生産状況は次の通りである。


米国は過去2番目の増産

 飼料穀物の生産量は、前年度比4%増(2億7,400万トン)と94/95年度に次ぐ
増産となる。これは、生産量の約9割を占めるトウモロコシの作付面積が前年比
3%増加し、さらに収穫面積および単位面積当たり収穫量が高水準であったため
である。


中国は干ばつで92/93年度以来の低水準

 飼料穀物の生産量は、トウモロコシを中心として減産となり1億1,400万トン
(前年度と比べて2,400万トン減)となる。これは、トウモロコシに対する補助
価格が引き下げられたことなどから作付面積が7%減少したことに加え、主要生
産地域である北東部および北部平原において干ばつとなったため、収穫面積や単
位当たり収穫量が減少したためである。この結果、飼料穀物生産量は、92/93年
度以来最低水準となる。


EUは大麦を中心に増加

 飼料穀物の生産量は、前年と比べて5百万トンの増加となる。これは、大麦の
収穫面積は変わらないものの、スペインにおいて単位面積当たりの収穫量が記録
的に高くなったためで、その結果、大麦生産量は前年度と比べて3百万トン増と
なる。またトウモロコシは、作付面積が引き続き増加するものの、単位面積当た
りの収穫量が伸びないため、生産量は前年度と比べて1百万トンの小幅な増加と
なる。エン麦については、北部ヨーロッパにおいて単位当たりの収穫量が増加す
ることから生産量が増加する。


南米はブラジルのトウモロコシが記録的な増産

 飼料穀物の生産量は前年度と比べて7百万トン以上増加する。これは、ブラジ
ルのトウモロコシが生育条件に恵まれたため、過去最高の単位面積当たりの収穫
量となることと収穫面積の拡大により記録的な増産が見込まれるためである。特
に前年度冬期収穫分のトウモロコシが、降霜により大きな被害を受け価格水準が
高かったため、今年度のトウモロコシ作付面積の増加をもたらした。また、アル
ゼンチンのトウモロコシ生産は、他作物と比較して収益性が低いとみられたこと
から作付面積が減少したものの、生育条件に恵まれたため、単位面積当たりの収
穫量が大きく、生産量の減少は小幅になるとみられる。


東欧は長期の干ばつで記録的な減産

 飼料穀物生産量は3,700万トン(前年度度と比べて1,800万トン減)に落ち込ん
だ。これは、ドナウ川沿いの主要穀物生産地域において、厳しい干ばつが長引い
たことから飼料穀物生産に深刻な被害があり、収穫面積が記録的な低水準に落ち
込むと同時に単位面積当たりの収穫量も過去30年間で最低となったためである。
ただしポーランドは、その他の国ほど深刻な被害には至らなかった。

◇図:世界の飼料作物の生産割合◇

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