NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○好調な生産シーズンの中、干ばつの影響が懸念


ニュージーランド全体では好調な生乳生産

 ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)によると、2000年6月〜2001
年3月までの生乳生産量は、前年同期を5.8%上回る1,128万4千キロリットルと
過去最高を記録した。生産増加の要因としては、一部地域では干ばつにより生産
が減少したものの、北島北部の主要生産地域では適度な降雨に恵まれ飼養条件が
整い、この地域の3月の生産が前年比2〜3割増で推移したことが挙げられる。

◇図:生乳生産量の推移◇


チーズを除く乳製品生産は99/2000年度を既に上回る水準

 このような好調な生乳生産を背景に、2000年6月〜2001年3月までの乳製品生
産量は、チーズを除く主な乳製品で99/2000年度(6月〜5月)の生産量をすで
に上回っている。前年同期比で見ると、バターの生産量は7.5%増の35万2,251ト
ン、全粉乳は15.9%増の38万8,774トン、脱脂粉乳は14.1%増の23万8,557トンと特
に粉乳での大幅な増加が目立っている。その一方でチーズは6.7%減の23万2,608
トンと減少している。

 乳製品生産の増加要因としては、生乳生産の増加のほかに海外市場における乳
製品需要の強まりが挙げられる。全粉乳、脱脂粉乳については、東南アジアを中
心とした需要が強いことが生産意欲を持たせている。世界各国に輸出されている
チーズなどの乳製品については、EUでの牛海綿状脳症(BSE)の発生により、牛
肉に代わってたんぱく質を多く含む乳製品への需要が強まったとの見方もある。
いずれにせよ乳製品の国際市場価格は比較的高値で推移していることが、乳製品
生産の増加要因とみられる。

◇図:乳製品生産量の推移◇


深刻な干ばつが今後の懸念材料

 昨年末から始まった干ばつは、5月に入っても北島南部と南島全域で続いてい
る。南島の酪農家は搾乳をすでに終了しており、このまま冬季の乾乳シーズンへ
入るとみられる。その一方で、天候に恵まれている北島北部では5月下旬まで搾
乳を続けるとみている。

 気象機関では、例年と比べ気温が高く降雨量の少ない気象状況は今後3ヵ月続
くと予測している。こうしたことからもし冬の間中干ばつが続けば、NZの経済全
体に与える影響が大きくなるとの見方もある。

 今後の生乳生産は危惧されるものの、生乳生産シーズンがピークを過ぎて干ば
つが起こったことや3月までの生産が好調であったことが、2000/01年度3月ま
での生乳生産と乳製品生産を過去最高の記録に導いたと言える。

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