◇絵でみる需給動向◇
生乳価格が昨年末以来、堅調に推移している。米農務省(USDA)によると、 生乳価格(飲用向け乳価と加工原料乳向け乳価の加重平均)は、98年には生乳生 産の伸び悩みから過去最高の15.5ドル/100ポンド(約43円/kg:1ドル=125円) となったものの、その後は生乳生産の増加に伴う需給の緩和から値を下げ、99年 が前年比6.9%安の14.43ドル/100ポンド(約40円/kg)、2000年が同14.5%安の 12.34ドル/100ポンド(約34円/kg)と、2年連続で前年水準を割り込んだ。し かし、2000年12月以降は、前年同月を10%程度上回って推移し、2001年4月には 前年同月比16.8%高の13.9ドル/100ポンド(約38円/kg)に達するなど、その回 復が本格化している(左図参照)。
このような生乳価格の上昇は、生乳生産の減少によるところが大きい。生乳生 産量は、経産牛頭数と1頭当たり乳量がいずれも前年より減少したことから、20 00年12月以降前年を下回って推移し、2001年第1四半期では、前年同期比3.1% 減の1,875万トンにとどまった。特に、1頭当たり乳量については、92/93シー ズン以来ともいわれる厳しい冬の影響で、経産牛にストレスがかかった上、粗飼 料供給が質・量ともに低下したこと、従前の生乳価格低迷による収益性の悪化を 反映して、生産者が成長ホルモン(bST)の投与を控えたことなどから、今年第 1四半期の月平均乳量は前年同期比6.7%減の692kgと、96年以来初めて前年同期 を下回った。 ◇図:1頭当たり平均乳量◇
今後の見通しについて、USDAでは、1頭当たり乳量は、生乳価格の上昇を受 けて今後は増加するものの、冬場のダメージが響いてその回復が遅れることから、 2001年通年では前年比0.6%増と、96年以来の低い伸びにとどまるとしている。 また、経産牛頭数も、収益の悪化を嫌って廃業するケースが増えることなどが予 想されるため、2001年の平均では前年を1%程度下回るとみられる。このため、 2001年の生乳生産量は7,561万トンと、前年を0.6%下回ると見込まれる。一方、 需要は、チーズやバターなどの乳脂肪製品を中心に堅調な推移が見込まれる。こ うしたことから、USDAは、2001年の平均生乳価格は、前年を14.3%上回る14.1ド ル/100ポンド(約39円/kg)まで回復するとみている。 ◇図:生乳生産量および生乳価格の推移◇
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