米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2001年養豚経営、収益確保も黒字幅が縮小へ


99年12月以降黒字が継続

 今年3月以降、養豚経営の収益が大幅に増加している。米農務省(USDA)に
よると、養豚経営の収益(北部中央地域における一貫経営のネット・マージン)
は、98、99年と肥育豚価格の大暴落を受けて赤字となった。しかし、99年12月以
降は黒字で推移し、2000年平均では8.6ドル/100ポンド(約24円/kg:1ドル=
125円)と3年ぶりにプラスに転じた。収益は、今年になっても黒字が続き、3
月以降は10ドル/100ポンド(約28円/kg)を上回っており、大幅な伸びとなっ
ている。

◇図:養豚経営における収益の推移◇


生産者は良好な経営環境を享受

 こうした収益の増加は、肥育豚価格の動向と軌を一にしている。肥育豚価格は、
高値で推移する牛肉からのシフトが進むなど需要が堅調となる中、豚肉生産が減
少傾向で推移したため、99年8月以降前年を上回っている。豚肉生産の減少は、
98年秋の大暴落を機に中小経営などの転廃業が相次いだこと、また、当時の教訓
から採算が好転しても増頭に慎重な経営が多かったことを反映している。このよ
うに需給が引き締まる中、厳冬により出荷が遅れたこと、EUの口蹄疫発生により
輸出需要増に対する期待感が高まったことなどから、今年3月以降相場は高水準
で推移している。これに対し、生産コストは、飼料価格の低下により上昇が抑え
られている。こうしたことから、収益は、価格の高騰に伴って大幅に伸びる結果
となった。


供給増による価格低下で収益は圧縮の見込み

 USDAによると、豚肉生産量は今後増加し、2001年通年では前年比0.9%増の
866万トンとなるとみられる。一方、豚肉の需要は、前年並みの推移が見込まれ
ているものの、経済の減速やエネルギー価格の高騰があれば消費者の購買意欲が
減退しかねないこと、EUの口蹄疫も沈静化の兆しが見られることなど、今後は
下方圧力が高まる可能性がある。このため、2001年の平均肥育豚価格は、前年を
3.8%下回る43ドル/100ポンド(約118円/kg)にとどまる見込みである。USDA
では、飼料価格の低迷が継続するため、養豚経営の収益は黒字が確保されるとし
ている。しかし、2001年における損益分岐点価格は42.05ドル/100ポンド(約11
6円/kg)とみる専門家もあり、2001年の収益は大幅に縮小する可能性もある。

◇図:豚肉生産量および肥育豚価格の推移◇

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