アルゼンチンの有機食品、近年生産を増加
2000年有機食品生産量は前年比大幅増
日本では今年4月から、改正JAS法に基づく変更で有機食品を含む食品表示が
新しくなったが、アルゼンチンでも関連の法律を制定し有機食品生産の取り組み
に力を入れている。
同国における2000年の有機食品(農産物)生産は、99年と比較すると、農地面
積(主に羊と牛の家畜生産を含む)が100万ヘクタールから300万ヘクタール、輸
出量が26,000トンから35,000トン、国内向けが4,100トンから5,600トンといずれ
も大幅に増加している。有機食品生産量の内訳(99年)は、果物40%、穀物(大
豆、トウモロコシ、ヒマワリの種)40%、野菜類(ニンニク、タマネギなど)13
%、畜産物3%、加工品(ワイン、濃縮ジュース、オリーブ油、マテ茶など)4%
で、2000年は加工品の伸びが顕著であるとされている。
輸出は85%がEU向けで、従来一次産品が多かったが最近加工品も伸び出した。
ほかでは13%が米国向け、2%が日本、スイスなどで、日本へは96年頃からワイン、
ジュース、マテ茶などを輸出している。国内向けの有機食品では、鶏肉、牛肉、
牛乳、卵およびはちみつと畜産物が多く、通常の食品の価格と比べて約1割のプ
レミアムがついている。
近年、有機食品に関する制度化が進展
アルゼンチンの有機農産物の生産は、欧州からの移住者により80年代初期に始
まった。90年初めにEUが有機農産物の生産やその表示などについて規則を定め、
EU向けの有機農産物輸出国にこの規則を適用した結果、各国で有機食品に関する
制度化が始まった。南米ではアルゼンチンが最初に92年から制度化を始めた。
92年以降のアルゼンチン農牧水産食糧庁や農畜産品衛生事業団(セナサ)の決
議の法律化を意図して、99年8月に有機食品生産等法が制定され、その細則が20
01年の1月から2月に決議として制定された。同法律では、
@有機食品、生産などの定義
A同法の実施機関を農牧水産食糧庁およびセナサとする
B政府機関および民間団体の代表がメンバーの有機生産アドバイザリー委員会を
実施機関に設置し、有機生産に関する規則改正や有機食品リストの更新に助言
などする
C有機食品の認証機関、生産者、加工・販売・輸出入業者に国の登録制を導入す
る。有機認証機関は民間または政府関係機関でセナサに認定されたものに限る
D有機生産に関する規制を強化し、かつ有機食品の生産を振興する国家有機食品
計画を創設する
などが規定されている。
現在12の有機認証機関
アルゼンチンには現在12の有機認証機関があり、そのほとんどは国内資本の
民間業者である。うち3社はEU向けの有機食品の認証をEUから許可されており、
中でもアルセンサート社は国内で生産される有機食品の7〜8割を認証する最大
手である。この会社は最近日本の有機食品の登録認定機関と契約を結び、日本向
けのアルゼンチン産有機食品の認証を受託することができるという。
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