中国、2001年農民栽培意向調査の結果を発表
食糧の作付面積は引き続き減少
中国国家統計局は先ごろ、国内800県の6万7千戸の農家を対象とした今年の
農民栽培意向調査の結果を発表した。これによると、2001年における全国の農作
物の作付総面積は1億5,600万ヘクタールで、作物栽培の構造調整などの影響も
あり、食糧の作付面積が減少する一方、綿花や油料・糖料作物、タバコ、野菜な
どの作付けが増加する傾向にある。
中国では穀物、豆類およびイモ類を「食糧」と総称するが、意向調査による20
01年の食糧作付面積は、前年比1.7%減の1億700万ヘクタール(作付総面積の68
.6%)で、前年に引き続き減少した。内訳では穀物が2.5%減、豆類が0.5%減と
なったのに対し、イモ類は3.1%増となっている。
2001年農民栽培意向調査結果に基づく食糧作付面積の動向
食糧の作付け減少は政策的な要素も
食糧の作付面積の減少は、主として国内需給の緩和と、それに伴う価格低迷の
影響を強く受けていると言われる。中国では、80年代半ばから農産物が不足した
ことから、食料自給率向上のため、増産を目的とした政策が進められてきた。し
かし、結果的にはこれが農産物の過剰を引き起こし、国内に長期的な価格低迷を
もたらすこととなった。96〜99年には、食糧生産が年平均5億トンという記録的
な豊作が連続したこともあり、その余波を受け、穀物の価格は60ヵ月もの間、低
迷を続けた。
このため、政府は2000年に初めて食糧の生産目標を減産と設定した。同時に
「量から質へ」という方針を明確に打ち出し、長粒種の南方早生稲、冬まき小麦、
東北の春まき小麦などの作付面積を減らすとともに、これらを政府保護価格によ
る買い上げ対象から外している。
価格上昇などを背景に綿花、油料作物などの作付けは増加傾向
食糧の作付けが減少したのに対し、2001年の綿花の作付面積(推計)は前年比
14.9%増の約463万ヘクタールで、生産量が10万トンを超える山東、江蘇、安徽、
河北、河南、湖北、湖南の各省およびウイグル自治区の8主要生産地区のうち、
前3者はいずれも20%以上の高い伸び率を示した。増加の背景には、
@最近2年間、害虫への抵抗性の強い綿花の普及によって増産とコスト減が図ら
れ、栽培農家の収益が増加していること、
A綿花の価格が上昇(2000年の農家販売価格は前年比約30%高)していること、
B綿花を原料とする繊維製品の輸出環境が改善されたこと
などがあるとされる。
また、落花生や菜種、ゴマ、ヒマワリなどの油料作物については、一時連続し
て大きな伸びを示した後、最近は小幅な増加を続けており、2001年は前年比1.6%
増の1,568万ヘクタールと予測されている。
サトウキビやテンサイなどの糖料作物も、政府の需給対策などにより糖価が回
復してきたことなどを背景に、2001年の作付面積は8.5%増の161万ヘクタールと
予測されている。
その他の農作物の作付面積は、意向調査の結果から野菜が7.8%、ウリ類が8.6
%、タバコが4.9%の増加と予測されたのに対し、麻類は7.6%の減少となった。
また、農家販売価格が高く利益率の高い薬草は、30.6%増と大幅な増加が見込ま
れている。
今回の調査結果から、2001年の全国の食糧作付面積は、「警戒線」とされる1
億1千万ヘクタールを前年に引き続いて下回る見込みとなった。このことは、1
3億もの人口を抱える中国にとって将来的に極めて不利であるとも言われ、国内
では、食糧生産を安定させるために必要な措置が期待されている。
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