事業拡大を進めるチャロン・ポカパン・フーズ社（タイ）

今年半ばには国内の組織統合を完了、世界の台所を標ぼう

　タイ最大の畜産総合会社であるチャロン・ポカパン・フーズ社（CPF）はこの
ほど、現在推進中の国内の組織統合完了後、今年後半からベトナム、インドおよ
び台湾など他のアジア地域へ業務を拡大すると発表した。同社は98年から国内グ
ループの整理統合を進め、これまでに21の子会社を傘下に収めている。そして、
今年半ばを目途にしたCPインターフード社、スター・マーケティング社などの経
営権の完全獲得をもって、国内の垂直的な統合体制の構築を完了するとしている。

　CPFは、こうした体質強化を背景に経営効率を上げ、99年の売上高は、97年と
比較して88％増の531億バーツ（約1,487億円：１バーツ＝2.8円）と急増している。
2000年の売上高は、600億バーツ（約1,680億円）に上ると見込まれている。

　同社は「世界の台所」を標ぼうすることを目標に、飼料生産のみならず家畜飼
養、食肉加工、さらには畜産物の販売までを手掛けることで、従来の飼料会社と
してのCPF（Charone　Pokphand　Feedmill）から、畜産総合会社としてのCPF 
（CPFoods）へと変ぼうを遂げてきた。現在、同社の事業割合は、食品部門が55％、
飼料部門が40％、そして繁殖部門が5％となっている。同社は毎年、収益の約2％
を家畜繁殖、家畜および養殖用飼料の研究に充てることで、世界における自社の
技術水準の維持を図っているとし、タイ産食品のイメージアップへの貢献をアピ
ールしている。

鶏肉輸出の大手、最近は豚肉輸出にも力を注ぐ

　CPFはまた、タイの重要な畜産物である鶏肉の大手輸出業者としての一翼も担
い続けている。2001年のタイの鶏肉輸出量は、前年比15％増の32万トンに達する
ものと予測されており、CPFはその37.5％に当たる12万トン（前年比33％増）の
輸出を見込んでいる。特に、近年、輸出の伸びが大きいEU市場からは、衛生面や
動物福祉の観点から、CPFはタイの輸出業者の中で最も高い評価を受けていると
され、EU向け輸出のさらなる増加への期待が高まっている。

　こうした状況を受け、同社は、輸出用鶏肉の生産地であるサラブリ県に、15億
バーツ（約42億円）を投じて鶏肉加工場を新設し、併せて、既設の鶏肉調製品工
場やソーセージ製造工場、水産物加工場などへ20億バーツ（約56億円）の設備投
資も行うと発表している。

　一方、CPFは、将来的に鶏肉と並んで有益なアイテムに成長すると考えられて
いる豚肉の輸出にも力を入れ始めている。タイの今年の豚肉輸出量は前年比27.4
％増の８千トン（８億８千万バーツ＝約24億６千万円）と予測されており、その
うち、同社は20％を占めるものと見込まれている。現在、香港向けに毎日15トン
の冷凍・冷蔵豚肉を輸出しているが、今後はシンガポールなどにも販路を広げて
いきたいとしている。

ベトナムなど他のアジア諸国の系列獲得に乗り出す

　CPFは今後の戦略として、タイ国内においては、食品の輸出を中心に10％の利
益増が見込めるものの、他のアジア諸国での事業が成功すれば、さらに２０％の
増加が期待できるとして、ベトナム、インドおよび台湾における系列グループ会
社の獲得に乗り出している。

　現在のところ、CPFの資本占有率はCPベトナム・ライブストック社が40％、イ
ンドCP社が18〜19％にとどまっており、買収のための資産評価を始めていると
伝えられるが、経営権の獲得までには、今後かなりの時間を要するとの見方が強
い。しかし、その準備は着々と進められており、CPFのこれらの国々における影
響増の行方が注目される。

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