次期農業法に向けた畜産団体の提案(米国)


下院農業委の公聴会で各団体が具体的な提言

 米議会下院農業委員会では、昨年3月以降、次期農業法の議論の参考とするた
め、主要生産地の生産者や主要農産物の生産者団体などを対象とした公聴会を実
施してきた。公聴会は、議会の会期が改まった2001年以降も継続して実施され、
それぞれの団体がより具体的な農業政策への提言を行っている。畜産関係団体に
ついても、次のような提案を行った。

−全国生乳生産者連盟(NMPF)−

 96年農業法では廃止されることとなっていたものの、市況の低迷により延期さ
れてきた価格支持制度について、次期農業法の施行期間中、100ポンド当たり9.9
0ドル(1kg当たり約27円:1ドル=125円)の支持水準も含めて、現行制度を維
持すること、また、連邦ミルク・マーケティング・オーダー(FMMO)制度に基
づくクラスV(チーズ向け)および W(バター、脱脂粉乳等向け)の生乳価格
に関して、100ポンド当たり11.08ドル(1kg当たり約31円)の目標価格を設定し、
これを下回った時に所得を補てんする制度を新たに導入することを提案した。N
MPFは、この2つの組み合わせによって、生乳生産者に対して、大幅な価格変動
に対処するための効果的なセーフティネットを与えることができるとしている。

−全国豚肉生産者協議会(NPPC)−

 NPPCは、市場志向を強めた現在の農業法を支持するが、作物間でのゆがみが
生じているのも事実であり、その一例が、比較的高いローンレートを背景とした
大豆への作付けのシフトであると主張している。こうしたことから、NPPCは、
飼料価格の低下を図るため、大豆のローンレートを2割削減することを提案した。
養豚業界では、大豆に比べてトウモロコシを飼料としてより多く使用しているこ
とから、トウモロコシ価格の低下が同業界により多くの利益をもたらすものとみ
ている。また、NPPCは、飼料作物業界が得をし(価格が高くなる)、その反動
として畜産業界が不利益を被るような政策には断固反対すると述べた。このほか、
環境保全のためのコストについて、経営規模にかかわらずすべての生産者が補助
の対象となる制度を設けること、国際競争の激化にかんがみて、市場アクセス計
画(MAP)の増額、研究開発費用の拡充などについても提案した。

−全国肉牛・牛肉生産者協会(NCBA)−

 NCBAもNPPCと同様に、畜産業界の犠牲の上に他の農産物業界が利益を享受す
る政策には反対するとし、その具体例として、減反の強制、穀物の保管経費に対
する生産者補助、乳牛買い上げによる生乳の生産調整(85年農業法に基づき行わ
れた措置に類するもの)などを挙げている。また、環境政策が次期農業法の重要
なポイントとなると指摘し、これらが履行された場合、生産者の費用負担の軽減、
技術指導スタッフの増員、土壌、水質、野生動物などに関する調査研究費の増額
などが必要との考えを示した。このほか、家畜疾病などの研究調査、監視体制の
拡充などの提案を行った。


上院での議論の本格化はこれから

 同委員会のコンベスト委員長(共和党、テキサス州)は、公聴会の結果などを
参考に、7月初旬には次期農業法のうち、農産物プログラムに関する法案を作成
したいとしている。しかし、上院のルーガー農業委員長(共和党、インディアナ
州)は5月下旬から6月の初旬にかけて、これらの検討に着手したいと述べてい
る段階であり、さらに同委員会の少数党リーダーであるハーキン議員(民主党、
アイオワ州)は、今年中の次期農業法の制定は困難と断言している。


ベネマン農務長官もようやく基本的な課題に言及

 一方、行政サイドも、ベネマン農務長官が先ごろ、民間調査会社の会議におい
て、次期農業法の方向性についてようやく言及した程度で、下院農業委員会が唯
一先行している感じは否めない。なお、同長官は、そのスピーチの中で、生産者
への補助は必要に応じて行わなければならないが、そのことによって価格の上昇
や競争力の低下につながる措置は避けなければならないと語った。

 また、次期農業法に関する基本的な検討課題として、生産者支持のために継続
的に支出可能な農業予算の水準、農業政策の対象となる生産者の定義、世界貿易
機関(WTO)協定との整合性、環境保全プログラムの役割などが挙げられた。

元のページに戻る