ケースレディー・ミート生産に取り組む食肉パッカー(米国)


小売側の需要の高まりで生産が増加

 合併や買収によって巨大化する大手スーパーマーケット・チェーンにおいては、
取引の効率化、低コスト化を図るため、規格化された商品を少数の供給先から大
量に仕入れようとする動きが急速に高まってきている。

 こうした小売サイドのニーズに応えるため、食肉分野においても、パッカーの
統合による寡占化が進展するとともに、その商品形態にも変化が見られるところ
となっている。小売店においては、部分肉を仕入れ、店内でカットし、トレー入
りの精肉パックとして販売するのが一般的であるが、近年パッカーが、このよう
な精肉パックの生産までも手がける例が増えてきている。こうした商品は、「仕
入れ後すぐにショーケースに並べられる」という意味で、ケースレディー(case
‐ready)・ミートと呼ばれている。


期待できる川下への進出メリット

 先ごろ米国の食肉業界誌「ミート・アンド・ポルトリー」に掲載されたレポー
トによれば、その増加要因として、消費者が、品質や価格に加え、ブランドや簡
便性を重要視してきていること、こうした中で、小売サイドにおいては、ひき肉
を中心とした安全性の確保や、カットの斉一性による規格化に努める必要がある
こと(これらの役割を川上のパッカーに求めることによって合理化が図られるこ
と)、減耗や販売ロスを低減できることなどが挙げられている。一方、パッカー
にとっても、自社名またはブランド名を打ち出すことによって、消費者に対する
商品の差別化・定着化を図るという、川下への進出メリットが期待できる。ケー
スレディー・ミートは、こうした小売、パッカー双方の思惑が符合したものであ
ると言える。

 このレポートによれば、99年にケースレディーの形態で販売された牛ひき肉の
割合は、全体の約7.5%であったのが、2000年には15%に増加し、これが2001年
には30%、2003年までには50%を超えるものと予測されている。また、カット牛
肉については、ひき肉に比べるとまだその割合は低いが、99年の約2.5%から20
00年には5%にまで増え、2001年に10%、2003年までには20%に達するものと見
込まれている。このような急速な伸びは、昨年4月に小売最大手のウォルマート
が、将来的にケースレディーを100%にするという決定を行ったことが引き金に
なったとされている。


大手パッカーを中心に積極攻勢

 世界最大の食肉パッカーであるIBP社においては、現在、ケースレディ・カ
ット肉(牛肉90種類、豚肉50種類)を3工場、同牛ひき肉を2工場で生産し、
ウォルマートほか小売12社の各店舗で販売しており、今後も、こうした機能を
持った工場を増やしていく考えであるという。レポートでは、このほかにも、カ
ーギル社、コナグラ社、ファームランド社といった食肉パッカーによる牛肉のケ
ースレディーへの積極的な取組状況や、豚肉最大手のスミスフィールド社の例が
紹介されている。

 また、ケースレディー・ミートの特徴としては、消費者が好む、発泡スチロー
ルよりも頑丈なプラスチック製のトレーを用いて、鮮度を保つために酸素濃度を
低く抑えて密封するMAP(modified atmosphere packaging)という
包装方式を採用する例が多いと報告している。

 レポートは、パッカーが施設の改修などにどれだけ対応できるか、消費者や小
売サイドのニーズがどこまで高まるかといった点が、今後のケースレディー・ミ
ートの拡大のカギであると指摘している。

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